高配当

分配利回り8%超えなのに年間利回り20%超!XYLDの仕組みとリスク、株価、買い方を解説

2021年11月から、新たな高配当(分配)ETFが日本の証券会社で購入可能になりました。その名も、グローバルX S&P 500 カバード・コールETF、ティッカーシンボル:XYLD。高配当なのに年間利回りは20%を超える優秀な成績をこの1年出しています。このXYLDとはどんなETFで、どんな仕組みで高配当と高利回りを実現しているのか、リスクや危険性、デメリットはないのか、そしてもし買うべきETFなのだとしたらどのように買うべきかを解説します。オプション取引を活用したETFですが、その仕組みを理解できると安心して買えるようになると思います。

S&P500に投資する高配当ETF、XYLDとは

XYLDという名前を聞いて、あれっと思った人は大正解。

日本でも大人気の超高配当ETF、QYLD(ナスダック100カバードコールETF)と同じ仕組みのETFです。違いはベンチマーク対象で、ナスダック100をカバーするのがQYLD、S&P500がXYLDというわけです。運用するのはQYLDと同様、グローバルX社になります。XYLDは日本の証券会社では楽天証券、sbi証券、マネックス証券で購入可能です。

S&P500とはアメリカを代表する大型株500銘柄で構成される株価指数(時価総額の加重平均)。ハイテク企業の指数を中心とするナスダックと並んで、アメリカの株式市場で最も重要なベンチマーク指数です。

S&P500に連動するETFとしてはVOO(バンガード・S&P500 ETF)などがあります。したがってXYLDとVOOの構成銘柄、約500社に分散投資されている点も基本一緒です。以下はQYLDと比べたXYLDの上位10銘柄とその構成比です(QYLDの9位はアドビで2.18%、10位はネットフリックスで2.12%)。

銘柄 XYLD構成比 QYLD構成比
1 マイクロソフト 6.67% 11.59%
2 Apple 6.20% 11.35%
3 アマゾン 4.06% 8.15%
4 アルファベットA 2.35% 4.10%
5 アルファベットC 2.25% 4.37%
6 テスラ 2.21% 5.88%
7 メタ(旧FB) 2.14% 3.73%
8 エヌビディア 1.98% 5.31%
9 バークシャーハサウェイ 1.39% -
10 JPモルガン・チェース 1.31% -
 -  合計 30.56% 54.48%

XYLDの概要

XYLDの概要をQYLDと比較するかたちで並べてみました。

2021/11/5時点 XYLD QYLD
銘柄数 508 103
ファンド総資産(10億ドル) $0.7 $5.2
上位10銘柄構成比 30.56% 58.78%
経費率 0.60% 0.60%
直近配当利回り(税込) 8.30% 10.44%
年間平均リターン(1年) 20.34% 14.62%
年間平均リターン(3年) 5.49 7.04%
年間平均リターン(5年) 8.74% 10.75%

経費率は同じ、配当利回りはQYLDが約2ポイント高いですが、1年の平均リターンはXYLDが5〜6ポイント上回ります。

カバードコールETFとは何か?

では、XYLDの正式名称でも謳われている「カバードコール」とは何でしょうか?

これはオプション取引の一種です。オプション取引に馴染みのない人には分かりにくいと思いますので、全くオプション取引のことがわからない人は、

①オプション取引とは、次にその一種である、②コールオプションとは、そしてその中の③ショートコールとは、そして最後に④カバードコールとは、の4段階に分けてQYLDのページで説明しているので読んでください。

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ここではオプション取引の基本を理解していることを前提にカバードコールについて説明します。

カバードコールとは、株式などの原資産を保有した上で、コールオプションを販売するものです。保有資産について、行使価格以上の値上がり益を放棄する代わりに、受け取るオプションプレミアム(オプション販売手数料)を積み上げていき、それによって高い分配利回りを実現しようという戦略です。

カバードコール戦略を3つのケースで分析

次にカバードコール戦略を理解するために以下の3つのケースを考えてみます。

①株価が値上がりしたけれども行使価格未満までの値上がりの時

この時、オプションを売却した相手は当然権利行使できません。したがって、保有資産のキャピタルゲインが得られます(決算日になればもちろん配当金も)。さらにそこに販売したオプションプレミアムが上乗せされます。

②株価が公使価格以上に値上がりした場合

この時、買い手はオプションを公使します。したがって、カバードコールしている側は、保有資産のキャピタルゲインは公使価格までに限られる一方、オプションプレミアムを受け取ることができます。キャピタルゲインで機会損失が出る一方で、安心してオプション販売手数料を得られるわけです。したがって、値上がり幅が大きければ大きいほど、機会損失は多くなる一方で、これはあくまでも機会損失。実際にキャピタルロスが出るわけではないことがカバードコール戦略のミソです。

③株価が値下がりした場合

この時、買い手は当然オプションを公使しません。そして保有資産の値下がり分だけキャピタルロスが出ますが、その損失分をオプションプレミアムが軽減する役割を果たします。

簡単に言えば、コールオプションを5円で販売したところ、1株100円から50円に下がった場合、カバードコールをしていなければ単純に50円の損失となるところが45円の損失にとどまるわけです。ただし、大きく下がればその分だけキャピタルロスが発生するので、いくらオプションプレミアムで軽減されたといっても、資産減少することには変わりません。

XYLDの本質

ここまできてくるとXYLDの本質がわかったのではないでしょうか。

「オプション取引を駆使したリスキーな銘柄」というのは誤った認識

オプションを上手に使って、むしろリスクをコントロールして、アップサイドとダウンサイド両方のボラティリティを小さくしていることがわかります。

つまり、XYLDの本質は

1.株価が公使価格を上回る時、得られる利益は公使価格までのキャピタルゲイン+オプションプレミアム

2.株価が行使価格未満で上がった時、得られる利益はキャピタルゲイン+オプションプレミアム

3.株価が下がった時、株価下落分だけ損失が拡大するが、得られたオプションプレミアム分だけ損失が軽減される

ということになります。

XYLDのデメリット

ただこの戦略は、

株価がめちゃくちゃに伸びている局面では、カバードコールしていない原資産だけを保有している場合と比べると、明らかに資産拡大のスピードが遅くなります。また、米国株式・ETFの分配金/配当金には10%の税金(確定申告で取り戻すことが可能)+20.315%の配当所得が課せられるため、配当再投資は資産最大化の観点では効率がとても悪いということをご理解ください。

また、多くの人が「これからマーケットは伸びない」と考えていたとしたらどうでしょう。するとコールオプションを買う人自体が減りますから、XYLDの見入りが減ることになり、減配リスクを抱えることにつながります。またみんなが下がると思っているときはコールオプション の需要が小さいわけなので、オプションプレミアムの価格も下がります。

それなりに株価はアップサイドを見据えた上で、ランダムウォークに進んでいくのがXYLDにとってはベストなシナリオなのではないでしょうか。

また、株価が大きく下がっている局面では、いくらオプションプレミアム分が損失を軽減するからといって、焼け石に水となることがほとんど。コロナショック級の時は、なす術がありません。そして、レジリエンス(復元性)という点でも見劣りします。今回のコロナショック後を例に取ると、ショック前の損失を早く取り戻して拡大できたのはVOOなどの原資産だけのETFでした。

XYLDの株価、株価成長も期待できる?

以下がXYLDの株価です。


QYLDと比べた株価の特徴は、QYLDは緩やかに株価が上がっていっては大きく落ちてを繰り返しつつも、高値をどんどん切り下げて大局では右肩下がりで推移する一方、XYLDも同じように緩やかに株価が上がっていっては大きく落ちてを繰り返しつつも高値の切り下げ傾向が見られない点です。

そうしたこともあって、2つの銘柄は同じ仕組みで動いていて、かつ分配金利回りはXYLDの方が2pt強低いのに、XYLDの年間利回りの方が直近1年では5%ptほど高いです。直近を見る限り、QYLDと違って、XYLDは株価成長も期待できる銘柄かもしれません。

XYLDの分配金は? 分配金FIRE生活はできるか?

年間の分配利回りは現状8.3%ですので、年間の分配金は1株当たり約4.15ドル(1株=50ドルの場合)になります。かなりの高さですね。仮に5000万円分購入すれば年間分配金は税前415万円。10%分の米国での課税を確定申告で取り戻せたとすると、年間の税払い後配当収入は約330万円。持ち家ローンなしであれば、十分FIREできます。

ただ、QYLDはもっと低いお金でFIREできることを考えると、XYLDは中途半端ですね。

XYLDは買いか?

総資産がQYLDの1/6しかない点から見て、まだまだXYLDの魅力が十分に伝わっているとは思えません。その意味では、買われすぎていない銘柄と言えるでしょう。

一方で、QYLDよりも不人気な理由は分配利回りが低い点。この手のETFを買う人は、総資産の最大化よりも年間配当金の最大化をKPIにしているケースがほとんどでしょう。そう考えると、QYLDよりも中途半端なポジションにあると言えるわけです。

さらに言えば、3年、5年のリターンはQYLDの方が高い点を考えると、安定的に分配されるという点を考えると、QYLDの方が買いやすいかなというのが本音です。

ただ、直近1年の成績を見ればXYLDのポテンシャルは高いですし、その分配利回りも十分なので、毎月一定額を購入し続けるとともに配当金を再投資して、年間配当金を積み上げて投資を継続するモチベーションを得ながら、資産を増やすことに勤しむというのは良い戦略だと思います。ただし、あくまでもXYLDは資産の最大化を実現するETFでないことはお忘れなく。

XYLDの権利落ち日

最後に、毎月分配金ありのXYLDの権利落ち日は毎月20日前後です。これはQYLDと同じです。

2021年のXYLDの権利落ち日は、これまで1/19、2/22、3/22、4/19、5/24、6/21、7/19、8/23、9/20、10/18で推移しています。

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