今回は、楽天証券で米国株式を取引する人が知っておくべきお得な買い方と手数料について説明します。国内株と違い、米国株ではお得なコースの適用がなかったりいろいろ注意点が必要。知らずに損しているかも。お得でオススメの買い方を説明します
楽天証券の手数料とは
楽天証券の口座から株式を取引する際、手数料について2つのコースがあります。
1つは「いちにち定額コース」
もう1つは「超割コース」
「いちにち定額コース」とは
「いちにち定額コース」とは、1日に何回取引しても、定額手数料で取引できるというものです。1日の約定金額が合計100万円までであればなんと税込0円。つまり無料です。200万円までが2200円(税込、以下同)、300万円までが3300円、以降100万円ごとに1100円の手数料が追加されます。
1日に何度も取引する人でかつ合計代金が100万円に満たない人は手数料ゼロ円で取引できてしまう、とてもお得なコースです。
「超割コース」とは
次に「超割コース」です。超割コースは、約定代金に応じて、手数料の1%がポイントバックされるもの。5万円までが55円、10万円まで99円、20万円まで115円、50万円まで275円、100万円まで535円、150万円まで640円、そして3000万円まで1013円、3000万円超は1070円です。
これを約定金額に合わせた手数料率を表にしたものが以下です。
約定代金 | 手数料 | 手数料率 |
¥50,000 | ¥55 | 0.110% |
¥100,000 | ¥99 | 0.099% |
¥200,000 | ¥115 | 0.058% |
¥500,000 | ¥275 | 0.055% |
¥1,000,000 | ¥535 | 0.054% |
¥1,500,000 | ¥640 | 0.043% |
¥30,000,000 | ¥1,013 | 0.003% |
この表を見る限り、手数料率を下げるにはできるだけ1回あたりの約定金額を増やすのが良いということになります。が、20万円と50万円で0.003ptしか変わらず、50万円と100万円ではわずか0.001ptしか変わらないので、20万円以上であればさほど変わらないと思います。また、こまめに買っていくという人の場合も0.1%程度の手数料率であれば全然負担にならず、むしろ経費率と銘柄特性を考慮して買った方が良いと言えます。
ただ、長々と説明したのですが、この「いちにち定額コース」と「超割コース」は、残念ながら国内株式の取引に適用される料率や手数料で、米国株はまた違う基準が適用されるのです。
米国株の売買手数料について
では米国株式の手数料はどんなものなのでしょう。
それは、3つの約定代金ラインにより手数料がわかれます
- 約定代金2.22ドル以下の場合、手数料無料
- 約定代金22ドル以上〜4444.45ドル未満の場合、約定金額の0.495%(税込、以下同)
- 45ドル以上の場合、手数料は一律22ドル
この②について、主な約定金額の手数料を表にしたものが以下です。
約定代金 | 手数料 | 手数料率 |
$500 | $2.48 | 0.495% |
$1,000 | $4.95 | 0.495% |
$1,500 | $7.43 | 0.495% |
$2,000 | $9.90 | 0.495% |
$5,000 | $24.75 | 0.495% |
$10,000 | $49.50 | 0.495% |
$50,000 | $247.50 | 0.495% |
手数料率は一定なのでいくらで買っても構わない、ということが分かりますね。
一方で0.495%という料率は意外に重く、累計で$10,000、23年5月29日時点のレートで約140万円買っているとすると、その場合$49.5ですから約7000円分手数料がかかっていることになります。
いくらずつ買おうがあまり関係ない一方で、米国株の場合、手数料が馬鹿にならないというのがわかったと思います。
買付手数料無料の海外ETFがある
では、お得な買い方はないのでしょうか?
実は楽天証券では、米国ETFについては、同社指定銘柄について、買付手数料無料で取引することができます。
それが、以下の15名柄(23年5月30日時点)です。
ティッカー | 銘柄名 | 経費率 |
QQQ | インベスコ QQQ トラスト シリーズ1 ETF | 0.20% |
SPYD | SPDRポートフォリオS&P 500高配当株式ETF | 0.07% |
VGT | バンガード 米国情報技術セクター ETF | 0.10% |
EPI | ウィズダムツリー インド株収益ファンド | 0.84% |
AGG | iシェアーズ コア 米国総合債券市場 ETF | 0.03% |
IYR | iシェアーズ 米国不動産 ETF | 0.41% |
VT | バンガード®・トータル・ワールド・ストックETF | 0.07% |
VOO | バンガード・S&P 500 ETF | 0.03% |
VTI | バンガード・トータル・ストック・マーケットETF | 0.03% |
SPY | SPDR S&P 500 ETF | 0.09% |
RWR | SPDR ダウ・ジョーンズ REIT ETF | 0.25% |
GLDM | SPDR ゴールド・ミニシェアーズ・トラスト | 0.10% |
AIQ | グローバルX AIビッグデータ ETF | 0.68% |
FINX | グローバルX フィンテックETF | 0.68% |
GNOM | グローバルX ゲノム&バイオテクノロジーETF | 0.56% |
手数料無料ETFを打ち出した初期の頃は、結構マニアックな銘柄が多いなという印象でしたが、VTI、VT、VOOに続いて、高配当のSPYD(SPDRポートフォリオS&P 500高配当株式ETF)、テック系中心のQQQ(インベスコ QQQ トラスト シリーズ1 ETF)などお馴染みの銘柄も仲間入りして、グッと買いやすくなりました(QQQを買う局面は23年5月末時点ではまだ早いですが)。
VT、VOOは経費率も低い上、手数料も無料ということなので極めてお得。積立投資にも最適ですし、お金に余裕があるときや、一気に買うのが怖い人のちょこちょこ買いにも向いています。
あまり、マニアックなETFに投資せず、王道の米国ETF投資をする人は、ぜひ手数料無料ETFも選択基準の1つにする、あるいはポートフォリオの一定程度に入れることで、ポートフォリオ全体の経費率・手数料率の加重平均を一定程度にコントロールすることをお勧めします。ローコストなポートフォリオは安定感もあると言えるからです。
SBI証券との比較 SBIだけが手数料無料のETF銘柄
なお、SBI証券の場合も、米国株式に関する手数料率は一緒です。さらに楽天証券と同様、買付手数料無料のETF銘柄も用意されていますが、その対象銘柄と銘柄数が異なります。
楽天証券と同じ銘柄 VT、VOO、VTI、SPY、EPI
SBI証券だけ IVV、DHS、DLN、DGRW
の以上9銘柄
したがって楽天証券だけが無料で買える銘柄としては、
QQQ、SPYD、VGT、AGG、IYR、RWR、GLDM、AIQ、FINX、GNOM
になります。
楽天証券とSBI証券でどっちが良い?
ざっと見てみると、SBI証券はエッセンシャルで汎用性の高い銘柄に絞って手数料率を無料にしていて、楽天証券は汎用性の高い銘柄を抑えた上で、ゴールドやREIT、債券なども範囲にしつつ、グローバルXのストーリー銘柄も対象にしていることがわかります。
SBIではDGRW(ウィズダムツリー米国株クオリティ配当成長)、DLN(ウィズダムツリー米国大型株配当ファンド)、DHS(ウィズダムツリー米国株高配当ファンド)と、配当成長、高配当系のETFを対象にしている点が使いやすいなという印象です。
一方楽天証券は局面によっては急成長が狙えるQQQ、高配当型のSPYDが買える点が大きなメリット。このほか、株式以外にもポートフォリオを多様化させたい時に選択肢は少ないですが使える、ゴールド(GLDM)、債券(AGG)などウィングが広い点が強みです。
総じて、ベーシックな銘柄しか買わないならどちらでもOKで、あとは自分がポートフォリオに入れたい銘柄があるかどうかをチェックして選ぶと良いと思います、が、わざわざこのために証券口座を分けて使う必要は管理の手間を考えるとないでしょう。
結論 楽天証券で米国株を買うときのポイントと賢い買い方
そんなわけで楽天証券で米国株を買うときのポイントと賢い買い方は
- 手数料率は一定なので、いつどのくらいの金額買っても一緒 だから自分の許容度に応じて買ってOK(1回に10万円までしか怖くて買えない人はそういう買い方でOKだし、もっと少ない金額でも問題なし)
- 手数料率(495%)だけでなく経費率も考慮して購入する(ETFの場合)
- 手数料無料で汎用性の高いETFを、ポートフォリオのベースにする(VTI、VOO、VTなど)
このように考えると、ベーシックなETFを購入している人は手数料無料なのであまり気にせずに買えば良いことがわかりますね。無料リストに入っていない銘柄も手数料率はいくら買っても一律なので、購入金額は気にせずに自分がいま買いたい量を買えばいいことがわかりました。
意外に忘れがちなポイントなので、今回整理してみました。