ふるさと納税

ふるさと納税、年収高い人ほどやらないと損 限度額超えても構わない理由と上限計算方法

9月に入りました。2021年もあと3ヶ月、冷蔵・冷凍庫の空きスペースと相談しながら、計画的に上限に合わせて、ふるさと納税の追加発注(=寄付)をする時期になりました。
ふるさと納税を使った実質減税率をまとめましたが、これは年収が高い人ほど得する仕組みです。つい寄附金が上限を超える場合もあるでしょう。それでも、「確定申告」さえすれば、思ったほど痛手を受けないことについても解説します。また、年収別・家族構成別のふるさと納税上限額の目安もまとめました。

ふるさと納税とは

ふるさと納税とは、自分が生まれた故郷や縁がある自治体、応援したい市区町村、そして魅力的な返礼品を打ち出している自治体などに寄付ができる制度です。ふるさと納税の総額(ふるさと納税の上限内の場合)から2000円を引いた金額が住民税から控除されたり、所得税の還付を受けることができます。

返礼品は、還付率30%と上限の目安(あくまでも目安)が決まっており、例えば総額10000円を寄付すれば、3000円分の返礼金-2000円の控除ということで、1000円分得することができます。

所得の多い人、例えば年収800万円の独身者・扶養家族なしの場合、ふるさと納税の上限の目安は13万1000円。満額寄付した場合、3万9900円相当の返礼品がもらえる上、13万1000円から2000円を控除した12万9000円の税控除を受けることができます。

つまり、まったくのリスクなしで、リターンを得ることができる仕組みなわけです。いわゆる、ふるさと納税することで、“実質”減税できる仕組みというわけです。

所得別のふるさと納税上限の目安

図表1 年収別ふるさと納税上限の目安   出所:総務省
給与収入 独身・共働き 夫婦 夫婦+高校生 1人
300万円 28,000 19,000 11,000
400万円 42,000 33,000 25,000
500万円 61,000 49,000 40,000
600万円 77,000 69,000 60,000
700万円 108,000 86,000 78,000
800万円 129,000 120,000 110,000
900万円 151,000 141,000 132,000
1,000万円 176,000 166,000 157,000
1,100万円 213,000 194,000 181,000
1,200万円 242,000 239,000 229,000

所得別のふるさと納税上限の目安(出所:総務省)は図表1の通りです。

注意点として、子供が中学生以下の場合は、計算に入れる必要ないので、夫婦か共働きの欄を確認。共働き+高校生の場合は「夫婦」と同じ上限になります。

所得が多い人ほど、ふるさと納税はするべき理由

次に、給与収入別に、年収に占めるふるさと納税による返礼品の価値(2000円自己負担含む)の割合を計算しました。返礼品の価値は30%で固定。
計算式は (上限金額-2000円)*30%÷年収
これを「実質減税率」とすると、図表2の通りになります。

図表2 給与収入別 ふるさと納税上限使用による実質減税率
給与収入 独身・共働き 夫婦 夫婦+高校生 1人 所得+復興税
300万円 0.26% 0.17% 0.09% 10.210%
400万円 0.30% 0.23% 0.17% 20.420%
500万円 0.35% 0.28% 0.23% 20.420%
600万円 0.38% 0.34% 0.29% 20.420%
700万円 0.45% 0.36% 0.33% 23.483%
800万円 0.48% 0.44% 0.41% 23.483%
900万円 0.50% 0.46% 0.43% 33.693%
1000万円 0.52% 0.49% 0.47% 33.693%
1100万円 0.58% 0.52% 0.49% 33.693%
1200万円 0.60% 0.59% 0.57% 33.693%

実質減税率は、
年収300万円の夫婦世帯はわずか0.17%ですが、
年収1000万円の夫婦世帯は0.49%にもなります。

年収が増えるにつれ、「実質減税率」は伸びていくのです。
もちろん、それだけ税金を納めているわけなので、高所得者層ほど、ふるさと納税をやらない手はない、ということになります。

限度額超過分は、「全額自己負担」ではない

とはいえ、ふるさと納税の正確な上限は、給与所得者であれば冬の賞与が出るまでは正確にはわかりませんし、多額のインセンティブが給与に反映される人も不明でしょう。そんなわけで、案外正確な寄付可能金額はわからず、多少少なめに寄付している人が多いのではないでしょうか。

それで間違いはないのですが、多少、多めに寄付していてもさほど損得勘定的には問題ないとしたらどうですか?ちょっとした機会ロスを削減できる上、師走の食卓を豊かにし、また利用寄付サイトによってはポイント還元額も増えることになります。

つまり、ふるさと納税は年収に応じた限度額を超えると、全額自己負担の単なる寄付になってしまう、わけではないのです。

例えば先ほどの、ふるさと納税上限額が13万1000円の人が13万5000円のふるさと納税をした場合は、自己負担金は4000円よりも少なくなります

その場合の自己負担増額は、3600円か2252円です。どういうことか説明していきます。

ワンストップ特例制度を使う場合は注意が必要

ワンストップ特例制度を利用した場合、
上限超過額1000円あたり、900円の自己負担増加額
となります。

つまり、ふるさと納税額の上限を4000円超過した場合、3600円の追加自己負担となります。

超過分の10%しか控除されないのであればギリギリを攻めたい、と思いますよね。
これは、ワンストップ特例は翌年の住民税から減税を受けるものなので、住民税の減税上限(30%)を超えて減税が適用されないからです。

確定申告すれば、上限超過分の負担金額が減る

そこで、所得税からも控除できるように、確定申告を行うのです。

年収800万円の人の所得税率は33%(復興税込みで33.693%)なので、さらに住民税からの減税分10%(一般分)を合わせて、43.693%が控除されます。
したがって、確定申告を行った場合は
上限超過額1000円あたり、563円の自己負担増加額
となります。
4000円寄附金を超過した場合は、2252円の追加自己負担です。

自分で確定申告をする手間は増えますが、このくらいの自己負担増加額であれば、返礼品次第では多少「足が出ても」、むしろ得することができるかもしれません。

例えば寄付総額12万5000円だったとして、あと5000円寄付して枠を1000円余らせるのと、1万円寄付して、それより2252円分価値を見出せる返礼品が得られるとしたら、後者の方が良い場合もあるのではないでしょうか(納税サイトのポイント還元を含めれば、その差はさらに減ります)。

もちろん、確定申告が手間だと考える人は、上限内に抑えるのがいいでしょうね。

上限を超過した場合の自己負担額一覧

図表3が上限を超過した場合の自己負担額一覧です。

図表3 ふるさと納税上限超過時の超過額1000円あたり自己負担額
所得 所得税+復興 確定申告の場合 ワンストップ特例の場合
~194.9万円 5.105% 849円 900円
~329.9万円 10.210% 798円 900円
~694.9万円 20.420% 696円 900円
~899.9万円 23.483% 665円 900円
~1799万円 33.693% 563円 900円
~3999万円 40.840% 492円 -

年収900万円以上になると確定申告により自己負担額は1,000円あたり563円まで減ります。

まとめると、ふるさと納税は年収が高い人ほど、有利な制度。実質減税を勝ち取るために、多少超過しても構わないのでギリギリまで攻めたいところです。

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