投資基礎知識

資産拡大に向かない?高配当投資のメリットとデメリット、高配当投資をすべき人の5パターンとは

ひとえに株式投資といっても、その人の目標が何か、その進捗を評価するのに最適なKPIは何かによって、行うべきことが変わります。今回は、「資産拡大期に向かない」とされている「高配当投資」についてそのメリットとデメリット、「高配当投資」に向いている人(向いている時期)、反対に向いてない人(時期)について明らかにしました。

高配当投資とは

高配当投資とは、高配当利回りの銘柄および高配当利回り銘柄で構成されたETF、あるいはQYLD(グローバルX NASDAQ100・カバード・コール ETF)のようにトリッキーな手法を使って高い分配利回りを実現しているETFなどに投資することです。

高配当投資の注意点

VYM(米国高配当株式ETF)などの高配当ETF(といっても3%程度ですが)に投資する場合はなんの問題もありませんが、個別銘柄に投資する場合は注意が必要。「インカムゲイン」だけに着目してしまい、衰退するだけの企業(=減配リスクあり)に集中投資してしまったり、特定のセクターに集中投資するなど、配当を求めるがゆえに偏ったポートフォリオになる危険性があります。

ちなみにここの最後の方で言っているように、私は個別銘柄は一切購入できないので、高配当投資と言う場合は、高配当(分配)ETFへの投資を指しています。

基本的に、VYMやSPYD(SPDRポートフォリオS&P500高配当ETF)のようなバランスの取れた高配当ETFであれば問題ないと思います。これに、もうちょっと利回りが欲しい場合は、適宜QYLDの構成比を高めて、分配利回りを管理することができます。

注意!企業が高配当な理由

ここで、補足として、なぜある企業は高配当なのか、ということについて考えてみましょう。儲かっているから?そんな単純な理由ばかりではありません。

なぜ高配当なのかと言えば、その企業に成長余地がないから、成長投資に回すよりも、株主還元に資金を回した方が、株主をハッピーにできるからです。

経営者の目的は、株主をハッピーにすることです。この「ハッピー」とは、具体的に言うと、将来に渡って株主が稼得されるキャッシュフローを現在価値に割り引き直したお金を最大化するということです。

成長企業であれば、配当に回さずに自社の成長に投資した方が株主をハッピーにできるから配当ゼロが肯定されるのです。成熟企業はその逆、ということです。それでも、事業にサステナビリティがあって、安定かつ継続的に配当している、あるいは配当額を増やしている企業であれば素晴らしいですが、タコ足配当だったり、目先の株主還元だけを重視している企業の場合は要注意と言えるでしょう。

高配当投資の良いところと悪いところ

高配当投資の良いところと悪いところをそれぞれまとめました。

高配当投資の良いところ

高配当投資の良いところ

  • 株価が下がっても狼狽売りしづらい
  • 精神衛生的に良い
  • リスク許容度が低い人でも長期保有に向く
  • 定期的にインカムゲインが得られる
  • 配当金再投資により、自動増殖が可能

少なくない額の配当金が得られるとわかっていると、株価が急落した時でも、怖さをあまり感じずに済み、結果狼狽売りをしにくいです。そのため、いわゆる「リスク許容度」が小さい人であっても、下落局面を経ても、長期的に保有しやすいというのがあると思います。リスク許容度が低い人が投資を続けるには、値動きがマイルドな投資信託/ETFを選んで、あとは定期積み立てにして、忘れる(笑)ことが肝要ですが、それでも気になるのが人情というもの。そんな人には高配当投資が高相性だと思います。

高配当投資の悪いところ

高配当投資の悪いところ

  • 他のインデックスが大きく値上がりしていると、損した気分になる
  • 高配当投資一本で生活していくとすると、膨大な資産が必要になる=資産効率が悪い
  • 資産拡大フェーズには向かない
  • 高配当投資で資産を大きくしていくには、時間がかかる
  • 基本的にインカムゲイン<キャピタルゲイン
  • 株価へのコミットが薄れる(株価が高い時でもつい買ってしまいがち)

高配当銘柄の値上がり幅はかなりマイルドなので、VTIなどの市場全体よりも保守的です。そうすると、「他で投資していればもっと資産が増えたのに…」と気持ちが焦る人もいるかもしれません。高配当投資の性格と特徴を十分に認識した上で、行うべきです。

また、配当金だけで仮に生活したいと考えている人にとって認識して欲しいのは、資金効率が極めて低いということ。

配当利回り5%の高配当銘柄を100万円所有しても、税前5万円、税引き後4万円にしかなりません。

自己資金1000万円を投資に使ったとしても、年間得られるキャッシュフローはわずか50万円です。高配当投資はとくに資金効率が低いのです。例えば不動産投資をする場合は、借入をすることで、レバレッジをかけられるのと比べると、明らかに低いです。

その結果、資産が1億円まで増えてようやく税引き後400万円の配当が得られるという具合です。

 高配当投資で良い人、高配当投資が向かない人

メリットとデメリットがわかったところで、どんな人が「高配当投資」で良いのか、について考えていきます。以下の5点にまとめました。

高配当投資で良い人

  • 高収入・低支出でかなりの額を投資に回せる人
  • 経済的自由を獲得した後もそれなりに働く人
  • 経済的自由になるまで時間をかけられる人
  • 株価の上げ下げが気になりすぎる人
  • 投資の目的が分配金の最大化にある人

まず年間400〜500万円を投資に回せるような人であれば、ムリにキャピタルゲインを考えずに、高配当投資を続けて、分配金を最大化させることで年間投資に回せる額を増やしていくというやり方が考えられます。あまり投資に回せる額が多くない人は、どこかの時期(とくに初期)で資産を大きく増やさないといけないのでキャピタルゲイン狙いに絞った方が良い一方、入金力がある人は、分配金をモチベーションにして「継続して投資する癖」をつけやすい高配当投資で良いと思います(もちろん、キャピタルゲイン狙いで一気に経済的自由を狙うのもありです)。

高配当投資のメリットは、配金をモチベーションにして、相場の厳しい時期でも退場せずに投資し続けられやすい点にあります。であれば、「経済的自由になるまで時間をかけられる人」は無理なく自分のペースでじっくり資産運用ができます。

何より株価の上げ下げが気になりすぎる人は高配当投資をすると、安心して続けることができるでしょう。

逆に言うと、高配当投資に向かない人はこんな人たちです。

高配当投資に向かない人

  • 経済的自由まで時間をかけられない・かけたくない人
  • 多くの額を投資に回せない人
  • とにかく資産拡大を目指している人

まとめ

投資はその人のゴール、そしてゴールを目指す上で設定するKPIに応じて、大きく変わります。まずはいつまでにどんな資産形成をめざすのかを明確にした上で、いまは資産拡大をめざすのか、それとも分配金最大化をめざすのか、投資戦略をはっきりさせた上で投資を行うのが正解です。何よりも指針が大事です。

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