これまで楽天証券で投資信託を積立する時、上限5万円(毎月)まで楽天カードクレジット決済を行うことができ、買付け額の1%のポイント還元を受けることができました。
ところが、2022年9月以降、そのポイント還元率が一部の銘柄を除き、買付け額の0.2%へと大幅ダウンします。
このポイント改悪の影響を最小限にするのが楽天キャッシュ経由での支払い。今回はその楽天キャッシュ払いの登録手順と、今回改変の意外なメリットデメリットについても解説します。
楽天証券、22年9月以降の投信積立で新方式
22年9月以降、楽天証券の投信積立のポイント還元などの制度はどう変わるのかを以下に示します。
楽天カード決済 | 楽天キャッシュ | |
月間設定上限 | 5万円 | 5万円 |
ポイント還元率 | 0.2%(手数料が一定以上の投信は1%) | 0.5%(22年内のみ1%) |
積立指定日 | 1~28日から選択 | 1、8日(選択不可) |
両決済の併用 | 可能(上限最大10万円/月) |
楽天カードクレジット決済だと、ポイント還元は、一部のファンドを除き0.2%還元に激減します。ではどんな信託が1%還元のままなのかというと、楽天証券が受け取る手数料が年率0.4%(税込)以上のファンドです。つまり、トリッキーなハイコストアクティブファンドです。1%還元対象のファンド一覧はここにありますのでご確認ください。
一方、0.2%還元ファンドのリストはここです。ニッセイ外国株式インデックスファンドやiシェアーズ米国株式インデックスファンドといったローコストインデックス投信はことごとく0.2%還元に改悪しています。
たまたま1%還元ファンドを運用している人を除けば、このポイントのためだけに積立投信を変えることは金のムダですのでやめてください。
楽天キャッシュとは 楽天キャッシュのメリットは何か?
ではこの楽天キャッシュとは何でしょうか。
楽天はすでに電子マネーの楽天Edy、キャッシュレス決済の楽天ペイを持っています。これ以外になぜ「楽天キャッシュ」がいるのでしょうか?
Edyはリアル店舗で使うプラスティックカードを前提としたもので、楽天ペイはスマホ決済と楽天では位置付けています。
一方、楽天キャッシュはプリペイド式で、楽天市場や楽天トラベルなどのインターネットサービスと、「楽天ペイ」加盟店などで使える「オンライン上の電子マネー」です。
楽天カード、楽天銀行から主にチャージし、楽天トラベルや楽天市場などのECサービスで使えるほか、「楽天ペイ」を通じてリアル店舗でも使用することができます。
このように考えると、楽天カードを通じて直接楽天ペイで決済できるし、楽天カードに限らず登録したカードで楽天市場や楽天トラベルで購入できるののにわざわざ楽天キャッシュをユーザーが導入するメリットは何なのでしょうか?
楽天キャッシュ、ユーザー側のメリットは?
はい。ありません。楽天側の都合です。
楽天としては、あらかじめ、「数万円」のプリペイドをしてもらえれば、その後、必ず楽天サービスのどれかで使ってもらえます。つまり、単なる囲い込みですね。
その囲い込みの目的で、楽天は、楽天カード→楽天証券の投資信託積立のポイントを改悪し、楽天カード→楽天キャッシュ→楽天証券という間に「楽天キャッシュ」をかませるプロセスに変えさせようというわけです。
したがって、三木谷の安易な策略にはまりたくないという人はここで楽天証券から離脱するのも良い方法だと思います。
一方で、もうメーンを楽天証券にしてしまって変えるのが面倒、あるいは「どっぷり楽天経済圏」の人は、これを機会に、楽天キャッシュを導入するのも良いでしょう。別に面倒な手間はありません。
楽天キャッシュの導入方法
いよいよ楽天キャッシュの導入方法です。
楽天証券のマイページから「投資信託」をクリック。ここの「積立設定照会・変更・解除」をクリックします。
すると毎月の積立設定金額の右側に「設定済み」として楽天カードが出ていると思います。その上に「楽天キャッシュ」の文字とアイコンが出ているので、そこの「変更」をクリック。
すると、楽天キャッシュの登録画面にまず遷移します。そこで、楽天クレジットカードのセキュリティコードを入れれば楽天キャッシュの登録は完了。積立金額が5万円の場合、「●円以上に残高をキープする」を5万円で設定すればオートチャージも完了です。
その後、楽天証券の積立設定ページに戻るので、そこで、改めて「変更」を押し、「楽天キャッシュへ引き落とし方法を変える」をクリックして完了させればOKです。
他のメリットを“あえて”あげるとするなら...
そんなわけで、楽天カードから楽天キャッシュへの楽天証券自動積立の方法を解説しましたが、今回の改正でもう1つメリットがあります。
それは冒頭の図表でも示したとおり、楽天キャッシュを使った5万円の積立以外に、楽天クレジットカードを使って5万円の積立ができる点です。
還元率はアレですが、楽天証券で10万円自動積立したいと思っていた人には朗報です。これは金融庁により、クレジットカードを通じた積立額が5万円までと定められているからで、今回楽天キャッシュを使うことで、もう1つ5万円分の枠ができたというわけです。
いずれにせよ、ポイントを餌に楽天証券にお客を集めるフェーズは終わったということでしょう。モバイルが金食い虫すぎてフィンテック事業を利益マシーンにしないといけない事情もあります。
他の証券会社がこれを良い機会と捉え、ポイント換言を強化してくれると面白いと思っています。現にsbi証券は三井住友カードとタッグを組んで、クレジットカードによる積立のポイント1%還元サービスを去年から始めています。