人間変われば変わるものです。私は元々、「クリエイティブという言葉への強い憧れ」に抗えずにブラック企業に勤務することからビジネスキャリアをスタート。その後転職してしばらくは意識低い系の若造サラリーマンとして無為に過ごしました。突然意識が高くなり英語なぞを本格的に学び出し、果ては米国MBAを取得するに至りました。どのようにして、こんな中途半端なキャリアを経て、経営者人材になろうと思ったのかについてお話しします。
ブラック企業を経て、意識低い系サラリーマンへ
私は関西の大学卒業後、東京でビジネスキャリアをスタートしました。
それなりにブラックな会社で、それなりに自由な雰囲気で広告企画系の仕事を行っていました。かなりのワンマン会社で、社長と役員が夫婦だということに入社するまで気づきませんでした。完全に騙された(注 言葉のあやです。別に彼らは騙す必要ないですし、まさか入社面接の時に、夫婦然とした態度を取るわけもないですからね)格好ですが、どうやらそれは中小規模のクリエイティブファームあるあるのようです。
業界ではそれなりのクリエイティブが評価された人が独立した会社でしたが、どちらかというと左脳中心型の理屈で攻めるクリエイティブは、クライアントの好き嫌いがはっきりしていました。以前はおしゃれ系を志向していたようですが、競合が多すぎるので、自社のブランディングをはっきりさせたのでしょう。今思えば、マーケティング的に正しい戦略だったと思います。ただ、いかんせんダサすぎることが多く、クライアントによっては完全にひいている人もいました。同期の営業担当も、「さすがにこの案は向こうに見せられない」とよくこぼしていたものです。
しかし、そんな「引くほどダサい」プランが採用されるわけです。私と営業担当の頭の中は「??」状態でしたが、はっきりいって私が未熟でした。これはあとあといい経験になりました。ちなみにこの理屈で攻めるダサ系クリエイティブを一言でいうと、某小○製薬系です。この会社は全てこの路線ですから、ブランドイメージが統一されていますが、各クライアントはそうではありません。したがってプロダクトごとにイメージが違いすぎて企業ブランドイメージの整合生が取れなくなる、ということがこの会社のプランを採用する上で将来の禍根となることでした。もちろんそれは、私が当時いた会社としては、それよりも大事なことがあるでしょう、というスタンスなわけです。
さて、その後、業績不振に陥り、企画畑の私やデザイナーも営業に駆り出されることになりました。残念ながら短期的には業績は上向かず、企画・デザイン関連の部署を大きく削減することに。それに伴い、退職しました。面白い会社だったのですが、キャリアアップの方向性が全く見えないので長くいる会社でなかったのもまた事実。自分的にはよい機会だったと思っています。
その後、業界は違うものの外資系の企画関連の仕事につきました。仕事の面白さに目覚めながらも、株取引には興味を示さず、毎日のように飲みに行く、意識の低い典型的なサラリーマンを数年の間、行っていました。
突如管理職へ、社畜系意識高いパーソンとは
その後、いきなり管理職に抜擢され、そこから急に意識高い系へと変貌を遂げました。人材交流会や勉強会などに足しげく通うようになるのです。それでも、仕事における自分のアウトプットを最大化しようという目的にとどまっていたのは印象的です。
これは完全な私見ですが、当時そのような勉強会に来ている人は、男性は自分の会社の仕事における成果を最大限にすることを通じて自分のキャリアアップを図る目的の方がほとんどでした。一方女性は、資格取得や新たな知識習得を通じて自分自身の能力を高めて転職などを通じてキャリアアップを図る人が多かった印象です。この明確な違いは、私にとって結構衝撃的した。会社を離れたら自分に何も残らない、という高齢男性が多いのもうなずける気がしました。
当時の私も、ご多分に漏れず、自分の人生を今後どうしていきたいのか、自分の足ではなくお金に稼いでもらうという発想に乏しい、いわゆる社畜系意識高いパーソンでありました。
その社畜系意識高いパーソンとして、お約束のTOEICなどにハマって高得点を取るなどしていましたが、ある日、「自分の人生そのものを変える大きな目標が欠如している」ことに突然気づいたのです。
そこから、私の新しい旅が始まったのです。
MBA取得で気づく、MBAの本質は「投資家の犬」ということ
そこで私は、3つの目標を掲げ、その達成の第一歩としてアメリカの大学のMBA取得へと進みます。ここで社畜系からの脱却を目論んだわけですが、別記事でも書いたように、MBAの本質は「投資家さまの手足となって利益を最大化する人材になる」というものであり、広義の意味では社畜であることに気づくとともに、深く納得。まあ忠誠を誓うのは社ではなく株主であるわけですから正しくは「投資家畜」。つまり「投資家の犬」ですよね。
それでも、経営のお勉強はハードながらも刺激的で、面白かったです。若かりし頃に「クリエイティブな仕事」に憧れ、そう言った企画畑をずっと担ってきたわけですが、経営の方がよっぽどクリエイティブだということを気付かされたのも、とてもよい経験です。
そんなわけで、MBA取得によりビジネスパーソンとして、経営を担う人材になることを目論むと同時に、個人投資家になりできるだけ早く経済的な自立をめざすことを志向するようになり、現在に至ります。
ただし、残念ながら会社規定により、個別銘柄に投資できなくなりました(会社の資本構成の変化及び役職に応じて制限が強くなる事情によるものです)。そのため、ETFと投資信託による資産構築を進めています。