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最強のETF?いまインベスコQQQに資金が流入する理由といまから買うべきではない理由 5年のリターンは平均25%

2021年5月17日

日本では米株ETFというとVOOやVTIが人気です。総資産高上位ETFなのでもちろんアメリカでも人気のETFです。ただ資金のネット流入量でみてみると違う側面も出てきます。ETF.comが発表している「週間Funds-Flowランキング」(2021年8月12〜18日)でSPY(SPDR S&P 500 ETF Trust)に次いで、インベスコ QQQトラストシリーズ1(QQQ)が2位となりました。Net-Flowsとは、ETFに流入した資金から流出した資金を差し引いた総額です。つまり、全ETFの中で2番目にQQQに資金が最も流れているわけです。ちなみにワースト(流出額最大)はARKK (ARK Innovation ETF)でした。そこで、今回はQQQがいまなぜ買われているのか、QQQの特徴とリターン、購入すべきか、もしそうならどういう買い方やタイミングが良いのかについて確認していきたいと思います。

バニ子さん
なんでこのQQQってやつが人気なわけ?
QQQは、アップルやアマゾンなどの巨大テック企業GAFAMを中心とする米国を代表する強い銘柄で構成され、特にGAMAFの保有割合が高いんだ。つまり、これひとつでアメリカの「高い成長性」を買える点が人気なんだ
かぶうさ

インベスコ QQQトラストシリーズ1(QQQ)とは

QQQはナスダック100指数に連動した成果をめざすETF。これは、ナスダック上場企業のうち、時価総額の大きくかつ金融以外の企業100社を集めたものです。

QQQはどんなETFか

では、このQQQはどんなETFなのでしょうか。ナスダック総合指数に連動したちょうど良いETFがないので、ここはS&P500種指数と連動するバンガードS&P500(VOO)と比較しながら見ていきたいと思います。

  QQQ VOO
銘柄数 102 509
ファンド総資産 $201.39 $658.3 
上位10銘柄構成比 52.85% 28.00%
外国株比率 0% 0%
経費率 0.20% 0.03%
QQQ(21年9月30日時点)とVOOのファンド概要①

まず構成銘柄数をみてみるとそれぞれベンチマーク指数から分かるように、QQQ102に対し、VOOは509銘柄。QQQの方が、圧倒的に特定の銘柄に絞り込まれています。ファンド総資産はどちらも大きいのですが、QQQ1564億ドルに対し、VOOは6583億ドルとVOOの方が4倍超の大きさです。なお、QQQは21年4月時点で1564億ドルだったのでわずか半年足らずでその総資産を33%増やしたことになります。

経費率も差があり、QQQは0.2%とバンガード系と比べると若干高いですが、VOOは0.03%と圧倒的な低さです。

QQQのセクター構成、銘柄特性

次にQQQがどのような銘柄で構成されているのか、そしてどのセクターの構成が高いのか、そしてどの程度のリターンを提供しているのかを見ていきます。

QQQのセクター構成比

セクター(QQQは2021年9月末時点) QQQ VOO
インフォメーション・テクノロジー 48.4% 27.40%
コミュニケーション・サービス 19.32% 11.10%
一般消費財 17.3% 12.40%
ヘルスケア 6.62% 13.10%
生活必需品 4.79% 6.00%
工業・公共事業 3.56% 11.00%
金融 - 11.20%
エネルギー - 2.80%
素材 - 2.60%
不動産 - 2.40%

セクター構成比を見ると、QQQの偏りがはっきりしています。ITが48.4%と約半分を占めます。これにコミュニケーションサービス19.32%と一般消費財17.3 %を合わせると全体の85%近い構成比となります。いずれのセクターの構成比もVOOよりも圧倒的に高い割合となっています。

一方、VOOはヘルスケア構成比が13.1%ありますが、QQQはその半分程度しかありません。このほか、工業・公共事業の割合もQQQは低く、素材、エネルギー、不動産、金融に至っては構成比ゼロ%です。

このようにQQQはインデックスファンドとは言え、かなりITに振ったメリハリのあるポートフォリオとなっていることがわかります。

QQQの上位10銘柄と保有構成比

銘柄構成比上位10社を見ていくと、その理由が分かります。

  銘柄 QQQ VOO
1 アップル 11.02% 6.00%
2 マイクロソフト 9.98% 5.40%
3 アマゾン 7.83% 4.10%
4 テスラ 4.53% 3.70%
5 アルファベットC 4.02% 1.60%
6 メタ(旧FB)A 3.81% 1.90%
7 アルファベットA 3.79% 1.50%
8 エヌピディア 3.71% 1.40%
9 ペイパルHD 2.19% 1.30%
10 アドビ 1.97% -
  10銘柄計 52.85% -
QQQ(2021年9月末)とVOOの上位10銘柄とその保有株式比率

VOOとQQQでは上位銘柄の顔ぶれにそこまで大きな差はありませんが、その構成比がまるで違います。ともに1位のアップルは、QQQ11.02%に対してVOOは6%。マイクロソフト、アマゾン、アルファベット、テスラ、メタ(旧フェイスブック)も同様、VOOの倍近い構成比です。

その結果、QQQは上位10銘柄で半分を超えているのです。つまり、GAFAMなどナスダックを代表する超大型銘柄はテクノロジーセクター企業が独占しているため、QQQもその状況を反映した構成になっているわけです。ちなみにこの上位10銘柄構成比は、この半年でさらに高まっていて、21年4月末時点では50.83%でしたが、21年9月末時点では52.85%となっています。

QQQの特徴に、GAFAMが風邪を引けばQQQも風邪を引くといってもよいぐらい、相関関係が強いということが挙げられるでしょう。

また、GAFAM中心にテック銘柄が多いことは配当利回りにも現れています。VOOが1.32%とまずまずの水準であるのに対し、QQQは0.45%しかありません。これはGAFAMをはじめ、急成長を続ける企業が多いためです。税引き後純利益を配当に回すよりも、自己投資に回した方が、将来的に大きなリターンを得られると考えているわけです。配当金には税金がかかるので、キャピタルゲインだけを追い求める方が、投資家にとって効率が良いという面もあります。

QQQの収益性分析

次にQQQの収益性を分析します。

申し分ない過去5年、3年、1年のリターン

まず、年間リターンをみてみます。

2021.11.28時点 QQQ VOO
直近配当利回り(税込) 0.42% 1.25%
直近配当額(2021/3Q) $0.41 $1.380
年間平均リターン(1年) 29.58% 40.97%
年間平均リターン(3年) 27.69% 18.56%
年間平均リターン(5年) 27.72% 17.60%

直近1年間ではVOO40.97%に対してQQQ29.58%と、意外なことにVOOがアウトパフォームしています。これは、金利上昇懸念によって成長性の高いテック系が大きくそのパフォーマンスを落としたことなどが要因として挙げられます。

しかし、5年、3年のリターンを見るとQQQがVOOを10pt近くもアウトパフォームしていることがわかります。

QQQ(青)とSPX(オレンジ)の5年間のパフォーマンスの推移(ともに5年前の時点をベースに) by TradingView

QQQ(青)とSPX(オレンジ)の5年間のパフォーマンスの推移(ともに5年前の時点をベースに) by TradingView

上のグラフはQQQとSPX(VOOがベンチマークしているS&P500種指数、VOOとSPXの数値は基本連動する)について、5年前を基準にどのくらい上がっているかを示したものです。

この5年間の平均リターンが27.72%ですから、とんでもない値上がり幅です。ここ5年の米国株式市場がいかにGAFAMを中心に時価総額を増やしてきたか、が改めてわかりますね。一方でアップサイドリスクはSPXより明らかに高いのですが、SPXよりも目立ってダウンサイドリスクが大きいというようには見えない点も特徴です。

年初来ではVOOがQQQを凌駕する理由

一方で、上のグラフのように、年初来でみてみると違った結果になります。VOOがQQQを僅かながらアウトパフォームしているのです。

このことから、未曾有の金融緩和を行うこのコロナ相場において、QQQは昨年10月ごろまで力強く牽引した一方で、年明け以降はその株式の高すぎるバリュエーションから警戒が高まり、GAFAMの好決算と金利上昇懸念が相まって、利益確定売りが相次いだことなどから、特に4月下旬以降、大きな調整が入ったと言えます。その後5月後半以降持ち直し、一気に上がって行きましたが、7月以降また一服しているという状況にあります。

結論 QQQは買うべきか、買い方と買い時

上は8月12日〜18日のQQQの日別のFund Flowsを示したものです(出典:ETF.com)。12日に大きな流入がありましたが、これはその前週に大きく下落し、大型ハイテク株を中心に投資機会が生じた事によるものです。

このようにQQQはアメリカを代表する強い銘柄に集中するETFです。リターンを考えても非常に魅力的なETFです。

ただし、今から買う場合は、金利の問題、コロナの問題、12月最後のFOMCなどがあり、大幅な調整局面も予想され、購入タイミングが重要だと思います。

QQQの株価は21年明け以来好調で、たびたび大きな調整局面を迎えては結局上がり続けていますが、GAFAMの一角、アマゾンが決算をミスし、大きくその時価総額を減らすなど牽引役が1つ減ったのは大きな痛手。QQQ全体でも強い勢いは今は感じられません。

6月17日時点で1株345ドルという水準でしたが、その後、米10年債利回りの低位安定に伴い、8月20日終値時点で367.7ドルまで上がっています。その後、11月2日のテーパリング発表をうまく切り抜け一時は403.99ドルまで上がりましたが、その後の金利上昇、コロナ変異株の流行懸念で11月26日時点で391ドルとなっています。

今後変異株の影響が小さかったとしても、今後QQQがさらに大きく上がるかといえば、22年の金利引き上げが2〜3回そうていされるなかでは、調整局面を経ながら少しずつ切り上げていくような展開を予想します。

上昇余地があまりないというのは、現時点ですでに「割高」であるということです。

QQQ  銘柄 構成比  PER
1 アップル 11.02% 27.66倍
2 マイクロソフト 9.98% 40.6倍
3 アマゾン 7.83% 82.9倍
4 テスラ 4.53% 1462倍
5 メタ 3.81% 32.59倍
6 アルファベットC 4.02% 64.59倍
7 エヌピディア 3.71% -
8 ペイパルHD 2.19% 52.46倍
9 アドビ 1.97% 60.52倍

それを示すのが、上の上位9社/10銘柄のPER一覧です。

株価はPER*EPS=株価収益率と1株当たり純利益の掛け算です。

また、理論株価とは将来稼得できるキャッシュフローの総額を現在価値に割り引き直したものです。

つまり、現時点の純利益が変わらないのに株価が上がっているとすると、それは「(現在価値ベースで)将来ここまで利益が増える」というマーケットの期待値によるものです。テスラ については1400倍を超えており、明らかに市場期待が強すぎる。イーロン・マスクが市場で自身の保有する株を大量売却したことを見ても、もはや彼の想定領域を超える成長を株式市場が勝手に見ていると言っても良いかもしれません。

また、必ずしも好決算だったからといって株価が上がるわけでもありません。すでにマーケットの期待は折り込まれているからです。この背景にあるのが、金融緩和の終わりへの懸念です。

つまり、PERが高いということは、

将来大幅な利益増大が見込まれている、だけでなく
現在の低金利を背景に高いPERが容認されている

ということでもあります。

そうなると買うタイミングは、粛々と定期で買っていく以外だと大きな調整局面を狙って購入するというのが良いと思います。当然、長い目で見れば上がっていくと思います。しかし、その間大きな調整局面、特にテーパリングによるバリュエーションの調整、その後は金利上昇というリスクイベントが入るので、常にプラスリターンというわけにはいかないのではないでしょうか。2021年11月以降、株式市場は順風満帆とはいかないわけですので、今後の展開に留意した買い増しや慎重な買い方が求められると思います。

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