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FIREで幸せになれる人、なれない人 客観調査で最も不幸な沖縄県が最も幸福な理由

2021年8月7日

メキシコの漁師とMBA卒コンサルタントのエピソードをご存知ですか?コンサルタントが漁師に提案する「お金持ちになったらできること(気ままに暮らすこと)」が、実はメキシコの漁師がすでに「毎日やっていること」とだったと言うお話。「幸せって何か」を考えさせてくれます。

幸福の感じ方や何を持って幸福とするかは千差万別。だから、どんな状態を自分が幸福と感じられるかを理解する必要があります。

しかも、幸福は一つの要素で成り立っているわけではないので、どんな要素が自分の「幸福感」を構成しているのかも確認しておく必要があります。さらに自分の性格や周囲の環境、国民性や県民性も幸福度合いに大きく影響します。

だから金融資産を増やしてFIREすることだけが幸福とは限りませんし、それゆえ「こんなはずじゃなかった」人生になる可能性だってあると思います。「自分が幸せだ」と思え、それがずっと持続できる状態を作る方法を一緒に考えていきましょう。

幸福とは何か?

幸福とは、心が満ち足りていること、幸せな状態を言います。

自分が「幸福」と感じられる状態にあることを言うわけですが、その判断基準も人によって曖昧です。「不自由ない暮らしをしているからまあ幸福だ」と言う人もいれば、「自分がやりたいことをできているから幸せだ」と言う人もいるでしょう。はたまた「あの人と比べて旦那の給料が安いから幸せじゃない」「社内の中で出世が遅れているし、家でも安らげないから幸福じゃない」など誰かと比べて自分の幸せを推し量る人もいます。

先進国で最も幸福度が低い国、日本

国連が発表した「世界幸福度ランキング」2021年版では、フィンランドが4年連続1位となり、2位デンマーク、3位スイス、4位アイスランドと続きました。アジアでは台湾が26位、タイが54位で、56位の日本を上回りました。

 

この幸福度ランキングは主に6つの要素で構成されています。

  1. 人口あたりGDP(GDP per capita)
  2. ソーシャルサポート(Social support)
  3. 健康寿命(healthy life expectancy)
  4. 人生における選択の自由(freedom to make life choices)
  5. 他者への寛容さ(generosity)
  6. 腐敗の認識(perceptions of corruptions)

簡単に説明すると、収入と健康、社会保障などの社会的支援、自由、寛容さ、そして国や社会への信頼の6つのファクターが「幸福かどうか」を強く左右していると言うわけです。そこに主観的幸福度が加わり、順位を構成します。

日本は、収入も健康はよく、社会保障も悪くないのですが、自由も低い。そして、極端に低い項目が「他者への寛容さ」です。これは直近で寄付したか、とか他者がおかしな行動をとることを許せるかどうか、といったことです。つまり、他人に迷惑をかける人、他とかけ離れた行動をとる人を許せないし、ホームレスを支援する人も少ない、社会的貢献のために寄付する人も少ないのが日本というわけです。そう考えると、画一的な社会、例えば「一億総中流」と呼ばれたはるか昔の不平等感を感じにくい社会、を住みやすいと感じ、自分より下層の暮らしをしている人は努力不足と切り捨て助けの手を差し伸べたりもしないのが日本人の特性かなと思います。

その上、主観的幸福度も高くないのが日本の特徴です。

 

まとめると、お金もあって健康なのに、自由がなくて他者も許せないし、自分を幸せだと思えないのが日本人ということになります。

台湾は所得は日本よりはるかに低いのに、自由もあり他者にとても寛容のようです。南国特有のお国柄もあるのでしょうか。

逆に言うと、他者に寛容になり、自由を得られれば、自分を幸せだと思える人も増えるかもしれません。

 

2つの幸福度ランキング、結果が真逆の理由とは

次に日本の「都道府県別の幸福度」を見たいと思います。

実はその都道府県別の幸福度ランキングを調べているところは2箇所あります。

1つは日本総合研究所もう1つはブランド総合研究所です。

日本総研では2年おきに「都道府県別幸福度ランキング」を出しています。

この調査では、人口増加率、県民所得、財政健全度など5つの基本指標と、健康・文化・仕事・生活・教育の5分野で指標を設定し、客観的に都道府県別の幸福度ランキングを算出しています。

ブランド総研では毎年、地域版SDGs調査2021を行っており、その中で「あなたは幸せですか?」という設問に対し、5段階で回答してもらった結果を集計した物。シンプルながら「主観」でその幸福度を調査したものです。

面白いのが、この2つのランキングで真逆の結果となった都道府県がある点です。

都道府県別幸福度ランキング(どちらも最新)
ベスト 日本総研(2020) ブランド総研(2021)
1 福井県 沖縄県
2 富山県 宮崎県
3 東京都 熊本県
4 石川県 山梨県
5 長野県 愛媛県
ワースト
1 高知県 山口県
2 大阪府 神奈川県
3 沖縄県 東京都
4 青森県 福島県
5 長崎県 青森県

上図が日本総研とブランド総研のそれぞれベスト5とワースト5の都道府県です(出所、両社発表資料よりかぶうさ作成)。

東京都は、日本総研の客観的調査では第3位なのに、ブランド総研の主観的調査ではワースト3位です。一方、日本総研の客観的調査では沖縄県はものすごく不幸な県に見えますが、主観的調査では「最も幸せな県」なわけです。ベスト5、ワースト5を見る限り、両方の順位が当たっているのはどうやら青森県のようです。客観的にも幸福じゃないし、主観的に幸福だと思う人が少ないというわけです。

沖縄は最も幸福なのか、最も不幸なのか?大きく分かれる調査結果

最も不幸だと思われていて、最も幸福な沖縄

最も不幸だと思われていて、最も幸福な沖縄

なぜ、こんな極端な結果が出てしまったのでしょうか。

それは、客観的な幸福と主観的な幸福が違うからに他なりません。

東京都はなんでも揃っているし、学力も所得も高いし、活気もあるし、仕事もある。他の県が羨む要素はいくらでもあるけど、仕事も勉強も過当競争とストレスにさらされ生活コストも高く、「幸せだ」と感じる人はとても少ないわけです。

逆に、沖縄県は全国平均の7割程度の所得しかなく、観光依存の経済は惰弱で非正規雇用者も多く、子供の学力の低さも問題になっています。それでも、「自分は幸せだ」と感じている人が多いわけです。ちなみに日本総研の調査では、沖縄県は2014年、16年とずっと最下位でした。

ブランド総研によれば、沖縄県では3人に2人が「幸せ」と回答している他、「全く幸せではない」「あまり幸せではない」と答える人が極端に少なく、コロナ禍の1年でも幸福度が高まっているようです。

さらにブランド総研では、幸福度、生活満足度、愛着度、定住意欲度の4つの指標の平均値を算出しましたが、ここでも沖縄県が1位(2位は北海道)となっており、「住んでいるエリアが好きで住み続けたいし、今の生活に満足していて、幸せだ」と感じる沖縄県民像が見えてきます。

FIRE=幸福ではない

経済的自由を確立してFIREしたとしても、「FIREした私、すごいでしょ?」と誇示したい承認欲求の塊のような人は、「FIREした人の中でもより経済的に豊かなFIREer(FIREした人)」になろうとしたり、または別の欲求満たしに突き進み、「ワーカホリックこそ至高の時代」となれば、そちらに舵を切ることでしょう。つまり、FIREが目的化している人は、幸福とは結びつかないかもしれないのです。むしろFIRE後の人生の描き方こそが、幸福を左右すると思います。「これが良いではなく、これで良い」「足るを知る」と言う、自分だけの揺るがない価値観を持っていることが大事だと思います(これを持っているからFIREできるともいえますが)。

一方で、自己実現や自身の成長を喜びとし、その生活の充実を持って幸福感を感じられる人、常に勝負の世界に身を置いて、勝ち続けることに喜び、幸せを見出す人もいますから、幸福のかたちは1人ひとりで違うことを認識したいです。

沖縄が教えてくれる「幸福感」と「幸福観」

まとめると、経済的自由は、必ずしも幸福とは限らない。が、経済的自由を確立すれば、幸せになるための選択肢を増やすことができるし、その選択が仮に間違っていても、容易に軌道修正することができます。経済的自由は、幸せになるための確率を限りなく高められるということだと思います。

ただし、冒頭の漁師とコンサルタントの話に戻ると、幸福は限られた一握りの人だけが得られるものではないし、ありふれたものであることがわかります。

客観的な幸せを説くコンサルタントと、主観的な幸せを日々の暮らしで実感している漁師の関係は、物的幸福に重きを置く東京(そしてそれで幸福を図ろうと考える日本総研調査)とそれとは真逆でも実際に幸福を感じている沖縄の関係性だとも言えるわけです。

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