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勝ち組決定!?高配当JEPIをNISAで運用して資産極大化する

2022年3月19日

高配当銘柄の課題は、配当金に税金がかかること。これは、NISA(少額投資非課税制度)の枠を使えばある程度帳消しにすることができます。今回は高配当とキャピタルゲインの両立が期待できる人気ETF、JPモルガン・米国株式・プレミアム・インカムETF(JEPI)について、NISA枠で買うとどれだけ資産運用成績が変わるのかをシミュレーションし、考察しました。

高配当+キャピタルゲインが狙えるJEPIとは

JEPIは直近の配当利回り9.23%、直近1年のトータルリターン13.13%という非常に魅力的なETFです(年初来リターンは-3.4%)。

ただ、JEPIは、普通のETFとは違う、奇特なETFです。

全体の85%がS&P500採用の大型銘柄の現物株、残る15%がS&P500連動のELN(仕組み債の一種であるエクイティリンク債)で構成されるETFです。前者のS&P500を対象とする現物株でキャピタルゲインをめざしつつ、後者のELNを通じたコールオプションの売りで、高い分配金利回りを実現するというものです。

JEPIの仕組みとリスクとは

仕組み債と聞くと「ハイリスクハイリターンをめざす」銘柄と思うかもしれませんが、JEPIは違います。

「S&P500よりもボラティリティを抑える」ことを目的としています。どういうことかというと、S&P500が値下がりした時、ELNの満額受け取りぶんが補填できるようにする反面、S&P500が値上がりした時は、ELNの損失が相殺するのでアップサイドが限定されるように、ELNの構成比を最大2割にし(現在の構成比は15%)、異なる満期日のELNを複数所有しています。つまり、アップサイドリスクとダウンサイドリスクの両方を小さくすることを主眼においています。

詳細は以下を確認してください。

高配当だけに惑わされるな!JEPIの仕組み、リスク、QYLDとの比較、買い方を徹底解説

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JEPIのデメリットは税金に伴う複利効果の弱さ

程よくリスクをコントロールしつつ、高利回りが実現できるJEPI。自身のポートフォリオに入れ込みたいと考える人は多いでしょう。

ただ、JEPIにはデメリットがあります。それは、高配当銘柄に共通することとして、「配当に税金がかかり、複利効果を十分に享受できない」という点です。配当に対して20.315%の税金がかかるため、再投資した際の効率が良くないのです。
とはいえ、JEPIはキャピタルゲインも期待できます。キャピタルロスを前提にインカムゲインで相殺していく性格の強いQYLD(グローバルX NASDAQ100・カバード・コール ETF)と比べると、資産拡大を狙うフェーズにもある程度適しているし、再投資による資産効率も高いです(単純にインカムゲインへの依存度が相対的に低いという意味で)。

その分、売却時のキャピタルゲインにも同様の税金20.315%がかかるわけですから、この税金をいかにして減らすかが、重要なテーマになります。

JEPIの課題をクリアするべくNISAで運用する

そこで、キャピタルゲイン・インカムゲインを非課税にすることができるNISAを活用すれば、JEPIへの投資で、強力な資産増加効果を実現できるのではないか、というのが本稿の主旨です。

NISAを使ったJEPIのルール説明

今回一般NISAの枠を使ってJEPIを購入した場合、どうなるかをシミュレートしたいと思います。

新NISAまで2年弱なので、2022年から始めると2年間は毎年120万円分購入でき、その後3年間は毎年102万円ずつの購入となります。 なお、JEPIは積立NISAはその対象外。 NISAと新NISAの制度の概要と違い、注意点については以下をご参照ください。

NISA枠で2022年から5年間満額で投資すれば、合計546万円を投資できます。それによって、年間どれだけの分配金が得られ、資産を増やすことができるのか、見ていきましょう。

今回のシミュレーションでは、JEPIの分配金利回りを年7.3%、年間のキャピタルゲインを1%、経費0.35%として、トータルリターンを8%とします。設定をいじればいくらでも高リターンの結果を出すことができますが、これからの株式市場の動向も鑑みて、直近のリターン成績よりも低めに設定しました。

初年度は、それぞれの銘柄を3月に一括で120万円分購入するので、トータルリターンを5.8%とします。

翌23年は期初に120万円ずつ、その後24年からの3年間は同様102万円ずつ購入するものとします。

NISA枠のJEPIは、分配金も非課税となりますが、10%の米国源泉税は徴収されます。これは「外国税額控除」が、NISAは適用範囲外だからです。したがって、NISAによる税効果は20.315%から10%を引いた10.315%となります。

分配金は全額再投資(注:再投資先は当然、NISA枠ではなく一般/特別口座となる)に回します。この分配金で再投資して購入したJEPIについても当然分配金が得られます(ここは普通に20.315%の税金がかかります)。

この計算方法については、前年度と今年度の分配金の平均額とします。これは、期初にNISA枠で購入し毎月分配金が得られるものの、その分配金で再投資して得られる分配金には期ズレが生じるため、その見合いとしての処置。当然初年度は前年実績がないので初年度分の半分ということになります。

シミュレーション結果 5年後どうなる?

まずNISA枠で、5年間にわたって、満額購入した場合、総投資額と年度末資産額、資産増価額は以下の通りになります。

NISA5年間

5年間の総投資額 564万円

5年目の分配金  42万円

5年後の資産総額 673万円

546万円の投資に対して、673万円、約127万円の資産増額となりました。

次に同様の投資額を一般・特定口座で行った場合をシミュレートすると以下の通り。

通常・一般枠で5年間

5年間の総投資額 564万円

5年目の分配金 36万円

5年後の資産総額 653万円

546万円の投資に対して、653万円、約107万円の資産増額となりました。

NISAとの違いは、金額にして20万円ですが、一般・特定口座で投資をした場合はこの後売却する際、インカムゲイン分に税金がかかることになります(今回のシミュレーションでは、年間手数料を差し引いたキャピタルゲインはわずか0.7%としているので、実際のキャピタルゲインにかかる税金の差額は1万円程度です)。

そう考えるとわずか21万円の差ということになります。

ロールオーバーで5年間さらに投資した場合のシミュレーション

とはいえ、NISAの魅力は5年間非課税で投資できることだけではありません。ロールオーバーすれば、最大で次の5年間も非課税の恩恵が得られる点です(買い増しは枠が余っている時のみ可能)。

そこで、非課税期間終了後、ロールオーバーを選択し、5年間継続保有した場合をシミュレートしたいと思います。なお、JEPIは僅かながらキャピタルゲインが得られたので、NISAの追加購入枠は余っていません。追加投資は一切なしで、分配金再投資のみ行うこととします。

その結果、以下のようになりました。

ロールオーバーで5年後(NISA5年後)

10年間の総投資額 564万円

10年目の分配金 54万円

5年後の資産総額 922万円

総投資額は546万円のままで10年後のロールオーバー終了時、総資産は922万円まで増えました。

次に、一般枠で5年間投資した後、そのまま5年間放置しておいた場合を見てみます。

特別・一般口座で5年+5年

10年間の総投資額 564万円

10年目の分配金 46万円

5年後の資産総額 862万円

まとめ JEPIをNISAで買うべきか

10年の運用だと60万円の差に広がりました。期間が長くなれば長くなるほど、複利効果が発揮され、最初はわずかな違いでも最終的には大きな違いになることがわかります。

とはいえ、分配金再投資分の分配金(ややこしい)には税金は20.315%かかります。仮にJEPIと同じ利回りでキャピタルゲインオンリーの銘柄があったとすると、同じ条件(NISAで5年満額運用後、ロールオーバー5年)だと10年後の資産総額は959万円となり、NISAのJEPIを37万円上回ります。

いまさらいうまでもないことですが、資産増加だけを目的とする人は基本的にNISAを使って、キャピタルゲイン狙いが効率がいいわけです。

一方で、JEPIを使ったNISA活用の何がメリットかというと、目に見える形で分配金を積み上げながら、資産形成ができる点です。これはモチベーションになるだけでなく、下落局面でも精神衛生上とても良いわけです。さらに分配金だけでなくキャピタルゲインも見込める点がJEPIの強み。高いトータルリターンが得られるので、自分のリスクコントロールの範囲内で資産の極大化が可能です。

その意味では、年間の投資枠は100万円程度で、分配金を多めに得てモチベーションにしたいしトータルの資産額も増やしていきたい、かつNISA枠で5年間投資したい、という人には、JEPIは適した選択肢の1つでしょう。

キャピタルゲインも狙えるという点ではQYLDよりも資産形成期にも適しているとも言えます。

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