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年間リターン20%越えなのに分配利回りも4%以上!XYLGを徹底分析!

2022年1月1日

2021年11月から国内のネット証券で買えるようになった米国ETFとして、これまでQYLG、XYLDを紹介してきましたが、今回紹介するのがXYLG、グローバルX S&P500・カバード・コール50 ETFです。
S&P500を半分だけカバード・コールすることで、インカムゲインとキャピタルゲインの双方を獲得できるものになります。QYLD、QYLGはナスダック100指数の株式を購入してカバード・コールするものです。一方今回紹介するXYLG(とXYLD)は、それよりも分散の効いたS&P500を対象とするもので、安定感がありつつ、値上がり益も期待できるバランスの良いものです。XYLGの概要と、特徴、注意点、カバード・コール50の意味、そして買うべきか、もし買うべきならどんな買い方がいいのかを見ていきます。

高配当と高リターン両立するXYLGとは何か

高配当が期待できるとして人気が高まっているXYLD(グローバルX S&P 500 カバード・コールETF)。同様に、S&P500をターゲットにカバード・コール戦略を行い、高配当と高利回りを両立するのが、今回紹介するXYLGです。

ご存知の通り、S&P500とは米国に上場する企業のうち大型株500社の時価総額を加重平均して算出した指数。このS&P500をベンチマークするETFとしてはVOO(バンガードS&P500ETF)、SPY(SPDR S&P500)、IVV(iシェアーズコアS&P500)などが巨大ETFがあります。

というわけでXYLGも、VOO、XYLDと同じ構成銘柄となります。

XYLGの概要とは~XYLD、QYLDと比較~

以下がXYLGの上位10銘柄の最新構成比です(21年12月27日時点)です。当然XYLDと全く同じです。

順位 XYLG
1 アップル 7.06%
2 マイクロソフト 6.46%
3 アマゾン 3.70%
4 アルファベットA 2.23%
5 テスラ 2.23%
6 アルファベットC 2.08%
7 メタ(旧FB) 2.06%
8 エヌビディア 1.94%
9 バークシャーハサウェイ 1.36%
10 ユナイテッド・ヘルス 1.19%
上位10社計 30.31%

次に、QYLD、XYLDと比較したXYLGの概要を見ていきます。

QYLD XYLD XYLG
銘柄数 103 508 508
ファンド総資産(10億ドル) $5.2 $0.7 $0.04
経費率 0.60% 0.60% 0.60%
直近配当利回り(税込) 10.44% 8.30% 4.24%
年間平均リターン(1年) 14.62% 20.34% 21.97%
年間平均リターン(3年) 7.04% 5.49 -
年間平均リターン(5年) 10.75% 8.74% -

ファンド総資産はXYLDもまだまだ大きくない(QYLDの1/7)ですが、XYLGはそのXYLDと比較しても1/17しかありません。それでも経費率はXYLDと同じ0.6%です。

注目したいのが配当利回りと年間リターンです。

配当利回りはQYLD > XYLD > XYLGですが

直近1年間ながらトータルリターンはXYLG > XYLD > QYLDとなりました。

XYLGの配当利回りはXYLD、QYLDと比べると見劣りします。しかしXYLGの配当利回りは4.2%ですから、VYM(バンガード高配当ETF)よりも実は高い。その上、高いトータルリターンも狙えるETFなのです。なお、XYLGの設定日は2020年9月18日、そのため3年、5年の成績はありません。

XYLGはどんなETF?カバード・コールとは何か

ではXYLGとはどんなETFなんでしょうか。

理解する上でポイントになるキーワードは2つ、「カバード・コール」そして「50」です。

「カバード・コールとは何ぞや?」という人やそもそものオプション取引の基本についても知りたい方は、以下のQYLDのページで確認してください。

超高配当に騙されるな!QYLDの仕組み、リスク、VYMとの比較、買い方を徹底解説!

今回は、超高配当(正確には分配)ETFとして知られるグローバルX NASDAQ100・カバード・コールETF(ティッカーシンボル:QYLD)を取り上げます。分配利回り11.5%(2022年8月14日時 ...

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このページでは①オプション取引とは、②コールオプションとは、③ショートコールとは、そして④カバード・コールとは、の4段階に分けて細かく丁寧に解説しています。

本稿では、オプション取引の基本がわかっている前提で、カバード・コールの特徴について簡単に説明します。

カバード・コールとは現物資産を保有した上で、オプションの売り手となってオプション販売手数料である「オプションプレミアム」で利益を積み上げていく戦略です。価格が行使価格(ストライクプライス)を上回ったとき、コールオプションの売り手の損失は無限大となるわけですが、現物資産を保有しているので、こちらを買い手に渡すことでその損失を回避できます。

逆に言うと、権利行使価格以上の値上がり益を放棄する代わりに、オプションプレミアムを受け取るのがカバード・コール戦略というわけです。

カバード・コールが想定する状況は3つあり、それぞれの場合カバード・コール戦略はどうなるかを簡単に解説します。

カバード・コール3つのパターン)

1株価が行使価格を上回ったとき:
行使価格以上の値上がり益を放棄。その代わりにオプションプレミアムが利益となる。

2株価が行使価格内で上がった時:
値上がり益の全てを得る。さらにオプションプレミアムを獲得する

3株価が下がった時:
下がった分だけ損失になる。一方、オプションプレミアム分だけ、損失が相殺される

カバード・コールとは、簡単に言うと、ボラティリティを積極的にコントロールして変動を小さくするものです。

カバード・コール「50」とは

では、「50」とは何でしょうか?

これは50%分だけ、カバーする(=現物資産を持つ)という意味です。

XYLDは100%カバーしますが、XYLGは50%をコール・オプションで売却するわけです。

つまり、XYLGは、保有資産の半分はS&P500に投資しつつ、半分はカバード・コールの対象にしたXYLDに投資しているのと同じことというわけです。

XYLGは結局どんなETFなのか?

つまり、早い話がXYLGは「VOO50%、XYLG50%」というアセットアロケーションのETFというわけです。

だからこそ、S&P500の値上がりの恩恵に預かりつつ、オプションプレミアムを積み上げて比較的高い分配利回りが得られるわけです。ユニークなポジションのETFですね。

XYLGを買うべきか?買い方は?

一方で考えたいのが、そもそも論として、「わざわざXYLGを買う必要があるか?」という視点です。

一括で買う人はもちろんのこと、定期で買っている人でもVOOとXYLDを毎月同額を機械的に買えばいいだけですし、何よりVOOの経費率はわずか0.03%なのだからXYLD(0.6%)と加重平均すれば年間経費率は0.315%です。XYLGの0.6%と比べると約半分ですみます。

QYLGの場合は、QQQの経費率もVOOと比べればかなり高いので、あえてQQQ+QYLDではなくQYLGを購入するメリットがありました。

そうなるとXYLGに投資したい人であっても実際にXYLGを購入すべき人は以下のいずれかに当てはまる人に限られると思います。

  1. VOOとXYLDの両方を買うのが面倒
  2. VOOは価格的に高止まりしているのもあって心理的に買いづらい
  3. 毎回少額投資(1回あたり投資額が4万円未満、VOOは1株約5万円<21/12/30時点>)のため、VOOの最低単元に満たない

1〜3の条件を見ると、手数料の高さに目を瞑れば、特に毎回の購入額が少ない人は、1株あたり4000円未満で購入できるXYLGを素直に買った方がいい人は案外多いかもしれません。

XYLGの株価は?

XYLGの株価は2022年1月18日終値ベースで時点で30.75ドル。

XYLGの株価推移(tradingview)

21年は基本右肩上がりで、VOOとの比較では4〜5ポイント下回るものの、極めて高いリターンを叩き出しました。2022年は指数も厳しい1年になるとの予測も出ているなか、手堅くオプションを積み上げつつアップサイドを狙うXYLGに注目したいですね。

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