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分配利回り7%、年間パフォーマンス14%のSRET 魅力的な世界リートETFの魅力とリスク、注意点を徹底解説

コロナ危機に伴う金融緩和の終焉と、インフレ退治を優先する環境下で金利が大きく上昇する局面に入っています。そうしたなかでは、これまで大きなキャピタルゲインを実現してきたグロース銘柄は高いバリュエーションを容認できなくなり、苦戦が続くことが想定されます。そうしたなかでは高い分配利回りの銘柄に注目が集まります。そこで、今回紹介するのは、分配利回り7%、直近1年で年間パフォーマンス14%を実現している「グローバルX スーパーディビィデンド ‒ 世界リート ETF」(ティッカーシンボル:SRET)を紹介します。SRETの概要と特徴、強み、リスクを解説した上で、買うべきか、買うべきならどんな局面でどのように買うべきかを書きたいと思います。

SRET

SRETとは何か

「グローバルX スーパーディビィデンド ‒ 世界リート ETF」(ティッカーシンボル:SRET、以下SRET)は、配当利回りの高いREIT30銘柄にグローバルに投資するETFです。

ベンチマークは、ソラクティブ・グローバル・スーパーディビィデンド®・REIT・インデックスで、これに連動する投資成果をめざすETF。

QYLDなどを運営する、グローバルXが運用社。「まだ誰も提供したことのないような」ソリューションの提供をモットーとするグローバルX。SRETもその同社らしい、ETFです。

なおREIT(リート)とは、「Real Estate Investment Trust」の略称で、日本語では「不動産投資信託」と言います。アメリカで始まった投資信託の一つで、投資家から集めたお金を使ってオフィスや商業施設などの不動産を購入し、その不動産の賃貸収入(や売買差益)を投資家に分配する、金融商品です。

以下は日本のJ-REITを例にした説明となりますが、基本は一緒ですからREITについての知識が全くない人は先にお読みください。

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そうしたなか、SRETは、「配当利回りの高いREIT30銘柄にグローバルに投資」するETF。後で詳述しますが、通常のREITに加えてモーゲージREIT(不動産ローン担保証券<MBS>を主な投資対象としたREIT)を含みます。

SRETの利回りなどの概要

次にSRETの利回りをはじめとした概要を紹介します。

SRETの概要
銘柄数 48
ファンド総資産 4億ドル
上位10銘柄構成比 35.54%
経費率 0.58%
直近配当利回り(税込) 7.27%
分配頻度 毎月
年間平均リターン(1年) 10.80%
年間平均リターン(3年) -8.49%
年間平均リターン(5年) -1.31%
ファンド設定 2015年3月

ファンド総資産は4億ドルと比較的小さいETFです。高配当ETFは比較的経費率が高めなのですが、SRETも例に漏れず年間0.58%と若干高めも、許容範囲でしょう。

直近配当利回り7.7%、直近1年の年間リターン10.8%という申し分のない成績を叩き出しています。一方で、3年間での平均リターンは-8.49%、5年平均では-1.31%とかなり気になる数字が並びます。。

なお、グローバルXの説明では「上位30銘柄に投資」と書いてありますが、実際のファンド説明書から取り扱い銘柄を確認すると、銘柄数は48となっています。うち米国企業が7割を占めます。

上位10銘柄の顔ぶれ

上位10銘柄の顔ぶれを見ると、構成比4.08%のカナダでショッピングセンターを保有運営などするスマートセンターズ・リートを筆頭に、上位10社はいずれも構成比3%以上。なお、9位キメラ・インベストメントと10位ペニーマック ・モーゲージの2社がモーゲージREITです(モーゲージREITは社名の後ろに*印)。

ティッカー 銘柄 構成比 年間リターン 配当利回り
SRU-U CN スマートセンターズリート 4.08% 35.95% 6.07%
MGP MGMグロース・プロパティズ 3.90% 22.86% 5.48%
WPC W. P.キャリー 3.79% 17.57% 5.59%
IRM アイアン・マウンテン 3.68% 49.02% 5.42%
GLPI ゲーミング・アンド・レジャー・プロパティズ 3.45% 7.16% 6.10%
NWH-U CN ノースウェスト・ヘルスケア・プロパティ 3.44% 7.63% 6.00%
CLW AU チャーターHLWリート 3.41% 11.14% 6.22%
DOC フィジシャンズ・リアルティ・トラスト 3.27% 0.62% 5.48%
CIM キメラ・インベストメント* 3.26% 36.75% 9.68%
PMT ペニーマック・モーゲージ* 3.26% -3.26% 11.52%

各社の直近年間リターンを見ると、データ保管施設の運営を行うアイアン・マウンテンが50%近いリターンを誇る一方で、病院など医療施設を運用するフィジシャンズ・リアルティ・トラストはわずか0.62%と格差が大きいです。

SRETの分配利回りが高い理由

一方、年間配当利回りは、大体5〜6%程度で、モーゲージREITはさらに高く10%程度となっています。

SRETの業種内訳(グローバルXの資料より抜粋)

SRETの業種構成内訳を見ると、モーゲージREITが37.65%、それ以外が62.5%。ダイバーシファイドは多様化ですので、住宅や小売、ヘルスケアなど様々な施設を運用するREITということになります。

モーゲージREITの配当利回りを10%、それ以外の配当利回りを6%と仮定すると、加重平均した配当利回りは7.48%となり、SRETの直近配当利回り7.27%となりほぼ符合します。

このことから、SRETの高い配当利回りは、モーゲージREITを適宜組み込むことで実現していることがわかります。

ちなみに、2019年末時点でモーゲージREITの割合が59.3%もありました。これだと配当利回りは8.5%ぐらいまで高まりますので、コロナ前後で大きく構成を変えています。

モーゲージREITとは

では、このモーゲージREITとは何でしょうか。

モーゲージREITとは、実物資産である不動産を所有して賃料収入を収益する通常のREITと違い、不動産担保ローン(モーゲージ)やモーゲージを担保とする証券(MBS)に投資するREITのこと。前者は不動産投資業ですが、後者は不動産ローンに投資するビジネスでその性格は全く異なります。

モーゲージREITの詳細は、下の記事をご覧ください。

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ここではその特徴だけを抜粋します。

  • 得られる利回り=MBSの利回り – MBSを担保に調達した資金の利回り
  • この得られる利回りが低いため、レバレッジ をかけて高配当化を実現
  • それゆえこの金利差が逆転すると赤字化、金利差が収縮するとさらにレバレッジ をかける必要が出て高リスク化
  • モーゲージ債のリスク自体は国債以上社債未満で比較的ローリスク

SRETの株価と株価推移

SRETの株価推移を見ると、コロナショックで大きく1/3に激減($15.72→$5.11)、その後回復するもコロナ前の水準からは程遠く、21年6月につけた$10.22が最高値で、その後はFRBの利上げ局面入りでじわじわ値を下げ、22年2月4日終値ベースでは$9を切る水準となっています。

VTIと比較したパフォーマンス評価(配当込み)では一目瞭然。コロナ前までは五角の水準ですが、その後、大きく明暗を分けた格好。SRETはコロナショックの規模も大きければ、その後の回復も冴えません。

SRET株価推移

なお構成比の高い銘柄は業績も好調で、上位5銘柄を見ると、うち2銘柄がコロナ前を超える株価水準で残る3銘柄もコロナ前に肉薄する水準まで回復しています。一方、モーゲージREITのキメラ・インベストメントとペニーマック ・モーゲージはコロナ前には及ばない水準で止まっています。

このことから、コロナ禍がモーゲージREITに与えた影響は爪痕として色濃い、さらにその後利回りの高いモーゲージREITの比率をSRETが引き下げている分、過去の株価とは程遠いパフォーマンスで推移していると考えられます。

SRETのメリット、デメリット、リスク

ここまで見てくるとSRETのメリット、デメリット、リスクが見えてくるでしょう。

SRETのメリット

SRETのメリット

  • 毎月分配
  • 7%程度の高い配当利回り(この水準を大きく超えると、モーゲージREITの割合が高まることを意味し、リスクが高まる)
  • 実物資産投資であるエクイティREITは安定性が高い
  • 賃料に反映できるため、恒常的なインフレ局面はREITにとってマイナスではない(長期的にはインフレ率が上がるほど配当利回りが上がる、エクイティREIT)
  • 金利安定局面では、期限前償還リスクが低下するため、安定的な利回りが得られる(モーゲージREIT)

SRETのデメリット

一方デメリットは以下の通り。

SRETのデメリット

  • 急激な短期金利上昇局面では、収益性が一時的に悪化(エクイティREIT、モーゲージREITともに)
  • 長短金利差の縮小、逆転時に収益性が悪化(モーゲージREITが影響を受ける)
  • 長期金利が低下すると、元の債務者のローン借り換えが増えるため、期限前償還リスクが発生し、当初見込む利回りよりも低下するリスクがある(モーゲージREIT)

SRETのリスクとは

モーゲージREITの比率を4割未満に引き下げているとは言え、金利変動によるリスクを大きく受けてしまうのがSRETの特徴。さらに大きな金融ショックの時のインパクトもVTIなどの市場全体と比べても大きく受けるなど、のほほんと投資して儲けられる商品ではありません。

結論 SRETは買うべきか?

コロナ後、SRETを取り巻く環境は大きく変わりました。そもそもモーゲージREITをメーンで運用するからこそ高い分配利回りとトータルゲインが享受できていたわけですが、コロナで大ダメージを受け、その比率を大幅に下げて安全策をとっているのがいまのSRETの状況です。株価自体もコロナ前の水準に戻るとは考えない方がいいかもしれません。つまりいまの株価が安いとは言えないということです。

今後金利上昇局面に入るわけで、それが安定するまでは買い時ではないでしょう。金利が安定的に高い局面になれば長短金利差も比較的安定するのでSRETにとっても良い環境になると思います。ただ、高配当ETFでありながら金利上昇局面に弱いのは、使いづらいなというのが正直なところ。

一方、コロナショックの下落幅を見ると、金融ショック時にボラティリティが高い点もポイントは低いです。

そう考えると、今後しばらく安定的な局面が続くと想定されるときに、一時的に保有する、あるいはあくまでもサブの扱いで保有するならいいかなという感じです。また一時的と言っても、短期で保有して満足いくリターンが得られる性格のETFでもないので平穏なときに中期で保有したい人はありかなという感じです。

あえて持つ必要はないですが、株式ETFの多くが株価が上がって利回りが減っている中ではとても魅力的に見えるのも事実。デメリットを知った上で買う分には問題ないと思います。

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