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[SPXL]VOO比較で、3倍レバレッジ型ETFのメカニズム、メリット、デメリットを正しく理解!適切にポートフォリオに組み込む方法とは

2021年4月23日

こんにちは、かぶうさです。今回は米国レバレッジ型ETF投資について考えてみたいと思います。リスクが高い、怖いなどいろいろ意見はあるかもしれませんが、金融商品の中身を正しく理解すれば、案外使えるETFなのではないかと思います。短期で持つものという認識があるかもしれませんが、ある条件を満たせば長期で持つことにも向いている、その点についても書いてきます。

レバレッジETFとは

かぶうさはここでも説明している通り、諸事情により個別銘柄を購入することができません。したがってETFがメーンになるわけですが、通常ETFだけだとリスクを取りづらいという欠点があります(リスク=アップサイド、ダウンサイド両方のボラティリティのことです)。

そこで、選択肢の一つに入ってくるのがレバレッジ型です。

レバレッジ型とは、元になる指数に一定の倍率をかけた値動きをするように設計された金融商品です。指数が下がると株価が上がる「インバース型」というのは、日々の変動率に負の倍数をかけたもので、指数が上がれば株価が下がる性質の商品になります。

元の指数と比較して、どんな値動きをするか

3倍のレバレッジ商品を例に取ります。

元になる指数がこの5日間で、

+3%、+1%、+4%、-3%、-5%という値動きをした場合、

このレバレッジETFは、

+9%、+3%、+12%、-9%、-15%という値動きをします。

この結果、では3倍の差がつくかというと、実は違います。

0日目の株価を100とすると、5日目に元の指数は99.7であるのに対し、レバレッジは97.3となります。元の指標が100に近づいたのにレバレッジの方は目減りしています。

次に5日間すべての日で+(プラス)の場合を見ていきます。

元になる指数が

+3%、+1%、+4%、+3%、+5%という値動きをした場合、

このレバレッジETFは、

+9%、+3%、+12%、+9%、+15%という値動きをします。

この場合、元の指数が117であるのに対し、レバレッジ型は157.6となりました。レバレッジ型の強さが発揮できている格好です。ここではレバレッジ型は3倍ではなくそれ以上の上昇率となりました。この理由は複利効果によるものです。

最後に5日間すべての日で-(マイナス)の場合を見ていきます。

元になる指数が

-3%、-1%、-4%、-3%、-5%という値動きをした場合、

このレバレッジETFは、

-9%、-3%、-12%、-9%、-15%という値動きをします。

この結果、元の指数が85であるのに対し、レバレッジ型は60.1まで下がります。下げ局面で、まさに直滑降で落ちていく下落スピードは恐怖を感じるものと言えるかもしれません。ここではレバレッジ型は元の指標と比べ3倍未満の下落率となっています。

このように、相場が低い時など、これから上がっていくことが予想される地合のとき、レバレッジETFを使うと、得られるリターンをさらに大きくすることができます。

レバレッジ型のメカニズムと弱点

レバレッジ型のメカニズムを考えます。上げが続いた時を見て分かる通り、トータルの上昇率は3倍を超えます。これは1つは複利効果によるものです。

注意したいのは、レバレッジETFは「上げ一本調子」のときに本領を発揮するものだということです。

3倍レバレッジETFは、純資産が100億円だとすると、その3倍の300億円の資産になるように先物を持っている状態になります。これによって指数の3倍の値動きを実現します。次に、翌日5%値上がりした場合、先物も値上がりするので15億円の利益が出ます。この分だけ純資産も増えるので計115億円になります。この時先物は315億円持っていることになりますが、次の日も「3倍の値動き」を達成するには、30億円足りません(必要資産=115*3=345億円)。つまり強制的に買い増しする必要があります。

逆のケースを考えます。値下がりする場合です。

同じように5%下がった場合、先物も値下がりするので15億円のマイナスが発生します。この分だけ純資産が減るので、計85億円となります。さらに、この時先物は285億円持っていることになりますが、翌日も「3倍の値動き」を達成するには、255億円だけあればいいので、30億円売却することになります。つまり強制的に売りが入るというわけです。

株価が上がるも下がるも一本調子のときは、この行動は効率が良いです。

今日値上がりして、明日値上がりすることがわかっていた場合、先物を買っておくというのは翌日に買うよりも安く買えるので、こうした日が続けば3倍以上のリターンになることが期待できます。

一方、値下がりが続く場合を考えます。今日値下がりして、明日値下がりすることがわかっていたとすると、先物を売るというのは、翌日に現物を売るよりも高く売れるわけなので、こうした日が続けば3倍未満の損失に抑えられることが期待できます。

ところが、実際の株価は、上げ下げを繰り返しながらどちらかに推移していきます。そうなると、今日値上がりして明日値下がりする場合、高い状態で先物を買わなければならないし、逆の場合(今日値下がりして、明日値上がり)は先物を安い値段で売らなければならないのです。

つまり、上げ下げが続く局面では売りたくないときに売って、買いたくないときに買って、を繰り返しているわけです。

1万円の持ち金では足りないから2万円借りてきて計3万円でA指数連動ETFを買う場合と比べて、3万円で3倍レバレッジを運用する場合、投資期間が長くなればなるほど、トータルリターンで後者の効率が悪くなるのは明らかですよね。

このことに関して、S&P500をベンチマークにするバンガードS&P500ETF( VOO)と、S&P500をベンチマークにする3倍レバレッジ型のディレクションデイリーS&P500ブル3倍ETF(SPXL)のリターンを比べてみます。

2016年4月に1万ドル買った場合の推移

2016年4月に10000ドルを投資した場合、5年後の2021年4月にいくらのリターンが得られていたかというと、

SPXL:43163ドル、VOO:21258ドルになりました。

SPXLは4.3倍、VOO2.1倍という結果です。3倍レバレッジと言いながら約2倍のリターンにとどまっています。

この時、コロナショック時にどんな値動きをしたのかというと、

SPXLは1月31日に33190ドルを記録後どんどん下がっていき、3月31日には13200ドルをつけるまでに落ち込みました。

では、コロナショック直前に買っていた場合はどうなっていたのでしょう。

コロナショック直前の20年2月にVOOとSPXLを購入した場合の推移

20年2月に10000ドル購入した場合、3月末にSPXLはわずか4000ドルまで下がります。2割減の8000ドルになったVOOと比べるとその影響は甚大です。その後も売らずに持ち続けた場合、直近の急激な株高もあって、最終的にはVOOをアウトパフォームしています。とはいえ21年3月にようやく並んだぐらいですので、心臓に悪いことこの上ないですね。一方、VOOはそれなりの配当が得られます(20年180ドル、SPXLは25ドル)ので、下落局面においても精神的な安定も得られそうです。

また、短期間で見てみると、2月に10000ドル購入して3月末に売却した場合、VOOの10746ドルに対して、SPXLは12218ドルのリターンを得ています。この短期間だと上げ基調中心だったので約3倍のリターンを実現しています。

どんな人、どんな時にレバレッジ型を買うのが良いのか?

そのように考えると、レバレッジ型ETFはどんな人、どんな時に買うのが良いのか、というと、まずは短期間の上げ局面で大きなリターンを得ようという場合です。

この投資戦略を除くと、レバレッジ型を購入しても後悔しない人は以下のような人になります。

  • 長期にわたって、必ずこの指数が伸びると確信している人
  • 投資に回せるキャッシュが投資したい額よりも少ない人で高いリターンを得たい人、
  • 目に見えるリスク許容度の高い人

ただし、この場合も、基本はポートフォリオの一定割合でレバレッジ型を組み入れ、目標トータルリターンのコントロールをするべきだと考えます。

私のレバレッジ型ETF活用法

個人的にはレバレッジメーンで長期保有していくスタイルは私にはそぐわないです。良さげな局面でスポット買いして一定期間で売却する感じが自分には合っています。その際も、かなりの金額を投資するというよりは、毎年一定額の「捨て銭」枠を用意して、その範囲内で投資するかたち。つまりビットコインに近い扱いですね(当然ビットコインの方がボラティリティは高いです)。

現状かぶうさは、銀行株が割安に放置されている一方でこれから好決算が予想されるのでディレクションデイリー金融ブル3倍ETF(FAS)をちょっと保有しています。

税免除効果を狙うレバレッジ型活用法

もう1つ、私も来年ぐらいに地合がよければ若干試そうかなと思っているのが、NISA枠でのレバレッジETFの活用です。なんせ、上昇分に対して税金がかからないので投資妙味があります。年間リターン3%のものに値上がり分と配当金に2割払っても大した額にはなりませんが、ボラティリティの大きなレバレッジ型であれば、20%の税金減免はインパクト大だからです(積み立てNISAの場合、レバレッジ型は対象外です)。ただし、よっぽど低い時に買わない限り、せっかくのNISA枠を狼狽売りすることになりかねないので、慎重に進めるべきですね。

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