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インデックスファンドとアクティブファンドの違い インデックス投資にするべき5つの理由

2021年7月24日

アクティブファンドとインデックスファンド--。1976年にバンガードが指数連動型のインデックスファンドを立ち上げ、その扱い高が増えていって以来、常に、「アクティブ(積極)運用かパッシブ(受け身)運用か、どちらを選択すべきか」ということが議論となってきました。
改めて、インデックスファンドとアクティブファンド の違い、強みと弱みを押さえた上で、インデックスファンドが選ばれる理由、インデックスファンドに投資すべき理由をまとめました(本記事はチャールズ・エリス著「The Index Revolution」などを参考文献にしています)。

アクティブファンドとインデックスファンド

アクティブファンドとインデックスファンドの違いを見ていきます。まずはアクティブファンドとは何か、インデックスファンドとは何かから確認してきます。

アクティブファンドとは

アクティブファンドは、指数を上回ることを目的に、ファンドマネジャーが株式・債権などの銘柄選択及び構成比を選択するファンドのこと。企業調査などを通じて銘柄分析を行い、購入銘柄とその割合を決めるとともに、相場状況に応じて、入れ替えや構成比の見直し(リバランス)を行なっていきます。

インデックスファンドとは

インデックスファンドは、ベンチマークする指数と同じ値動きをするように運用するファンドのことです。ベンチマークするインデックスには、日本株であれば日経平均やTOPIX、米国株であればダウ平均やS&P500などの株価指数、その他REIT指数、原油先物指数などがあります。

アクティブファンドとインデックスファンドの特徴、強み、弱み

アクティブファンドとインデックスファンドの違い表すと以下のようになります。

項目 アクティブファンド インデックスファンド
目的 指数を上回る成果をめざす 指数との連動をめざす
銘柄・割合選択 企業分析と状況に応じて 機械的に決定
手数料 高い 低い
強み① 指数以上の成果が上がるかもしれない 指数通りの成果が上がる
強み② 状況に応じて構成比を変える 十分な分散投資
弱み① 指数を下回るファンドが多い 指数以上は出せない
弱み② 指数を上回るファンドか事前にわからない 先回り売買をされて利益が減る

アクティブファンドの最大の特徴は、優秀なアナリストが徹底的な企業分析と企業取材を行い、ファンドに組み込む銘柄とその構成比を決定していき、指数を上回る成果をめざす点にあります。また、株価下落局面など状況に応じて組み替えや構成比の変更を行うことも強みと自認しています。

一方で、後述するようにアクティブファンドの中で、指数を上回る、つまりインデックスファンドをアウトパフォームするファンドの割合は高くはありません。つまり、指数に負けることの方が多いわけです。優秀なアナリストを多数雇い手間暇をかけてファンド構成を決めていくので手数料も高いです。つまり、インデックスファンドに負ける可能性が高い上、手数料が高いので、トータルリターンではインデックスファンドを下回るアクティブファンドが多いというわけです。

これが、アクティブファンドです。

一方、インデックスファンドの最大の特徴は、指数と機械的に連動させる点にあります。余計なことは考えずただ合わせるだけなので、運用の手間もかからないため、ファンド手数料は低く抑えることができます。指数が上がっても下がってもその指数に連動した成果を上げることができます。

一方で、指数で銘柄の組み替えなどがあった場合、指数に組み込まれる企業の株価は上がる一方で、外される銘柄は下がります。その指数の組み入れ銘柄の変更は事前に公表されるので、その情報を得た投資家が、新規組み入れ銘柄を事前に大量買いし、新規に外れた銘柄を大量に空売りしたとしても、インデックスファンドの運用者は機械的に大幅に値上がりした新規組み入れ株を購入し、大幅に値下がりした指数から除外された銘柄を売らなければなりません。それによって、インデックスファンドの利益が減少するというわけです。

インデックス投資が隆盛の理由

インデックスファンドの総資産が増え続けています。

これは、事実としてインデックスファンドの運用成績が、アクティブファンドの成績を上回っているからです。特に長期ではインデックスファンドはさらに優勢になっています。

アクティブファンドが市場平均に勝つ割合

2015年の古いデータですが、モーニングスターによれば、アクティブファンドが市場平均に勝つ割合(%)は、

「大型総合」指数の場合、
1年  27.7%
5年  16.3%

です。ほとんどの場合、指数に勝てないという明確な結果が出ています。大型株の場合は指数が圧倒的に優勢です。

一方、アナリストの分析力がモノをいうカテゴリーもあります。

「小型バリュー株」の場合、アクティブファンドが市場平均に勝つ割合(%)は
1年 66.7%
10年 38.3%

なのです。つまり、ボラティリティが高く、「割安」と判断する基準が難しい小型のバリュー銘柄に関しては、インデックスファンドでは勝ちきれないというわけです。なおこの分析は、チャールズ・エリスの「The Index Revolution」という本に出てきます。

このように考えると、資金の集まりやすい大型市場(S&P500など)でインデックスファンドが圧倒的に優位に立っているため、インデックスファンドの総資産がどんどん増えていると考えることができると思います。

では小型ならアクティブファンドが優勢なのかというとそうでもありません。「小型・成長」の場合は、1年でも10年でもアクティブファンドがインデックスに勝つ割合は22〜23%しかないのです(モーニングスター)。

アクティブファンドよりも優秀なリターンを出す上に、ファンド管理費用も圧倒的に安いとなったら、多くの人はインデックスファンドを買うと思います。

長い期間をかけて、インデックスファンドに資金が移って行ったのは、まさにマーケットニーズによるものだと言えるでしょう。

なぜアクティブファンドは「明確な差」が出せないのか?

では、なぜ、アクティブファンドは「明確な差」を出すことができないのでしょうか?

それは、株式市場の情報処理速度が大幅に高まるとともに、投資に関わる重要情報と思われる企業情報がすべての投資家に同時に公開されるように証券取引員会が2000年以降ルールを厳格化したこと、さらには証券会社の行う膨大なリサーチデータも瞬時に世界中のアナリストに伝わるようになったためです。これによって、多くのファンドが同質化し、さらにはその売買情報をもとにインデックスファンドが「ただ乗り」することで「市場が効率化」された状態になり、市場平均を上回るリターンを得ることが難しくなったというわけです。これを市場効率仮説と言います。

インデックスファンドを選ぶべき理由

ここまでインデックスファンドが増えている理由として、①アクティブファンドよりリターンが高い、②運用コストが低いことを挙げましたが、それはそのままインデックスファンドをおすすめする理由でもあります。

それ以外にもいくつかインデックスファンドを選ぶべき理由はあります。

この先「勝つファンドマネジャー」は誰かは誰にもわからない

インデックスファンドを上回るアクティブファンドはいくつも存在します。そこに投資することができれば、インデックスファンド以上の高いリターンをわれわれ投資家は獲得することが可能です。

しかし、致命的な問題があります。

それは、「誰がこの先、市場よりも高いリターンを上げるファンドマネジャーなのか」は誰にもわからない点です。これまで勝っていても、この先も勝つとは限りません。その意味では、個別の銘柄分析以上に手間暇をかけて選ぶか、過去の実績を手掛かりに選ぶか、運用方針に共感したファンドを選ぶかしかありません。それだけ手探りの状態で、かつ高い手数料を払った上で、市場平均を下回ったら後悔しかないですよね。こうしたことからもインデックス への資金流入が進んでいる要因だと思います。

「ミスターマーケット」と付き合わなくて良い

「ミスターマーケット」とは、ウォーレン・バフェットの師匠であるベンジャミン・グレアムによる教えで、毎日の相場動向に一喜一憂して、儲けたい損をしたくないと、売買しようとしてしまう投資家自身の心理を表したものです。

インデックスファンドに投資することで、ミスターマーケットの誘惑から逃れることができるのです。

考える時間を別のことに当てられる

最後に、これが最も大事なことですが、時間は有限であり、われわれにはやるべきことがたくさんあります。個々の銘柄や優秀なファンドマネジャーについて考えたり、マーケットの動きに一喜一憂している時間を、インデックスファンドに投資すれば別のことに使えるわけです。

まとめ インデックスファンドを選ぶべき5つの理由

まとめます。インデックスファンドを選ぶべき5つの理由は以下の通り。

  • インデックスファンド を選ぶべき5つの理由

    • アクティブファンドよりリターンが高い
    • 運用コストが低い
    • この先勝つファンドマネジャーが誰かはわからない
    • 「ミスターマーケット」と付き合わなくて良い
    • 考える時間を別のことに当てられる

このように考えると、ウォーレン・バフェットの「低コストのインデックスファンドは、ほとんどの個人投資家にとって最も賢明な投資である」という指摘はまさに真を突いていると言えるでしょう。

とはいえ、インデックスファンドにも致命的な弱点、憂慮すべき点はあります。それについては、別の機会で考えていきたいと思います。

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