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配当利回り5.5%、年間リターン30%のすごいETF DIVの特徴と落とし穴

2022年1月19日

今回紹介するETFは、ユニークなETF商品を開発することで有名なグローバルX社による、高配当ETF「グローバルX スーパーディビィデンド-米国低ベータ ETF」(ティッカーシンボル:DIV)。直近では年間配当利回り5.5%、そして年間リターン30.6%というすごい成績を叩き出していますが、果たしてどんなETFで、どんな特徴があり、買うべきか、買うとしたらどんな買い方をすれば良いのかについて解説します。

DIVとは何か

DIVはIndxx・スーパーディビィデンド®・U.S.・ロウ・ボラティリティ・インデックスに連動する投資成果を目指すETFです。

DIVの正式名称であるスーパーディビィデンド-米国低ベータ ETFという名称が示すとおり、DIVは、「米国企業」のうち「高い配当利回り」かつ「低ボラティリティ」の銘柄50社に投資するETFです。

「低ベータ」とは、ベータ値が低い、つまり市場感応度の低さを表しており、例えばベータ値が0.5の場合、マーケットが1%下がったら0.5%しか下がりません。逆にマーケットが1%上がっても0.5%しか上がらない。つまりマーケットリスクに対する感応度が低いということはそれだけボラティリティも低くなることが期待できる(企業固有のリスクを除けば)というわけです。

具体的には、米国株の中から時価総額5億ドル以上でかつベータ0.85以下、当年配当額が前年の50%以上を満たして配当見通しが安定的な企業を抽出し、配当利回り上位50銘柄に投資するETFです。

リバランスは年1回(2月)で、それとは別に年3回(5、8、11月)不適格銘柄の入れ替えを行っています。

DIVの配当利回りと株価推移、リターン

早速DIVの配当金と株価推移、リターンについてみていきたいと思います。

DIVの配当金

DIVの配当利回り、配当金の特徴は、

  • 毎月分配であること
  • 5.55%と高配当利回りであること

の2つが挙げられます。

配当金は安定的で、2021年をみてみると、毎月1株あたり$0.0845~$0.1を分配しています。分配時期は毎月10日以降が目安。

株価推移についての論考

次にDIVの株価推移です。

まず、直近5年でみてみると、コロナ前まで株価はほぼフラットの状態ないし漸減状態にありました。配当利回りが高いETFなのでそこまで心配することはないですが、買うタイミングによっては配当金を含めてもマイナスの時期が続いた人もいるでしょう。

図表1 DIV 約5年間の株価推移

さらにその後コロナショックによって、株価は22ドル台から11ドル台へと一気に半減(49.3%減)してしまいます。ちなみに同時期QYLD(グローバルX ナスダック100カバードコールETF)は$23.54から$18.23へ22.5%減で留まっていますし、VYM(バンガード高配当ETF)も$93.44から$63.64へと31.8%減となっています。

そのように考えると、DIVは低ベータで低ボラティリティを謳うものの、コロナの時はむしろボラティリティが高かったと考えざるをえないでしょう。これはコロナで大きく需要が減る産業の銘柄割合が多かったものと考えれます。別のマーケット危機が起こった時に同じだけ沈むとは思えませんが、注意しておくべき点でしょう。

またコロナで暴落後、コロナ前の水準まで到達していないという点も気に掛かる点となります。

DIVのリターン

コロナDIVのリターンは、直近の年平均リターンが30.6%と極めて高いです。

そこで、DIVのリターンについて、王道のVTI(バンガードトータルストックマーケット)、高配当の王道VYM(バンガード高配当ETF)と比べてみました。その結果、下図が配当を含まないリターンです。VYMとDIVがほぼ同じで、VTIが若干劣後しますがそれでも22.41%と高い。

図表2 VYM、VTIと比較したDIVのリターン推移(配当含まず)

ここから配当込みにするとどうなるでしょうか。

図表3が配当込みのリターンです。

図表3 VYM、VTIと比較したDIVのリターン推移(配当含む)

VYMが+30.74%となりましたが、より高配当のDIVはそれをさらに上回る+33.97%。かなり魅力的に移ります。

一方でテーパリング時期がほぼ明確になり、利上げを織り込みはじめた10月末以降のリターンはどうでしょう。図表4は配当込みですが、大型銘柄の影響力も大きいVTIがほぼトントン。VYMとDIVがほぼ同じ+7%となりました。

図表4 直近約3ヶ月のVYM、VTIと比較したDIVのリターン推移(配当含む)

そう考えると、DIVはVYMとかなり近い性質があるものの、決してVYMと比べてもボラティリティが小さいとは言えないことがわかります。むしろ安定感があるのはVYMの方です。

なお、DIVは直近3年間の平均リターンは5%、直近5年だと3.4%とかなり微妙な実績となってます。配当込みでこれなので、基本的には株価はトントンかややマイナスがデフォルトということです。QYLDのように年間10%の配当利回りがあるならともかく、5%程度の配当利回りで株価フラットというのはちょっとアレですね。一方VYMは3年平均、5年平均、10年平均いずれも10%以上のリターンを確保しています。

DIVはどんな銘柄かその特徴

次にDIVのファンド概要を押さえた上で、どんな銘柄で構成されていてそのセクター構成比はどうなのかについてまとめていきます。

DIVのファンド概要

50銘柄からなるDIVのファンド総資産は約7.2億ドルとあまり大きくはありません。一方、若干マニアックなファンド特性を持つことから、経費率は0.45%と若干お高めです。

銘柄(2022/1/18時点) 構成比 PER
1 ファイザー 2.78% 16.09
2 エクイトランス・ミッドストリーム 2.77% 13.85
3 パブリック・ストレージ 2.69% 43.65
4 BPミッドストリーム・パートナーズ 2.68% 9.5
5 キューブスマート 2.48% 50.43
6 ナショナル・フュエル・ガス 2.47% 15.35
7 エンビバ 2.47% 129.98
8 アメリカン・エレクトリック・パワー 2.43% 19.74
9 スパルタンナッシュ 2.42% 12.77
10 アイアン・マウンテン 2.41% 22.36
合計 25.6% 32.9

次に上位10銘柄を見ていくと、1位ファイザーは誰もが知る製薬メーカーですが、それ以外は特定の産業に詳しい人以外には馴染みの薄い企業が並びます。例えば2位エクイトランス・ミッドストリームは天然ガス開発企業向けに天然ガスの輸送サービスを提供するB2Bの有力企業で、4位のBPミッドストリーム・パートナーズは天然ガス関連のパイプライン企業。3位のパブリック・ストレージは小型倉庫(トランクルーム)の開発・所有・運営する不動産投資信託会社です。このようにB2Bのニッチながら安定的でかつある程度独占的な地位を占める企業が多い印象です。当然ながら、成熟企業が多く、急激な利益成長は見込めません。

また10社荷重平均のPERは32.9倍と高いですが、グローバルX発表の50社の加重平均PERは14.47倍だそうです。であればかなり低いですね。

ちなみに、1つのセクター内でベータが高い企業と低い企業が存在しますが、その差を分かつものは「マーケットでの立ち位置」です。マーケットリスクと感応性が高い企業=高ベータはセクター内の3番手以下で良くも悪くもセクター動向の影響を受けやすい。一方トップクラスの企業は、自社でそれなりに局面を作れたり打開できるため、比較的ベータが低くなりやすいと考えられます。

セクター別構成比

DIVのセクター別構成比は以下の通り。

  1. DIVのセクター別構成比

    • 生活必需品23.8%
    • 公共事業15.5%
    • 不動産12.3%
    • 工業・資本財11.7%
    • 金融9.2%
    • エネルギー9.0%
    • ヘルスケア7.4%
    • 通信5.4%
    • 基本素材4.5%
    • 一般消費財1.3%
    • テクノロジー0.0%

生活必需品が約1/4と極めて高く、公共事業、不動産、工業・資本財、金融と続きます。テクノロジーはゼロ%です。

まとめ 果たしてDIVを買うべきか?

どんな人が、DIVを買うべきでしょうか?

まず、キャピタルゲイン狙いではなく、年間配当額の最大化を目指す人が該当します。3%強のVYMと比べ5.5%のDIVは極めて魅力的。仮に3000万円を全てDIVに突っ込んでいたら年間税前段階で165万円を手にすることができます。すでにある程度資産を積み上げた人、あるいは毎年かなりの額を投資に回せる人で、将来配当額で暮らしたい人にとっては非常に良い投資先になるのではないでしょうか。金利動向、マーケットの流れに左右されやすいキャピタルゲインと比べればこと配当はかなり安定性が高い上、DIVはそこまで大きな減配リスクを抱えていない(DIVの性質上、大きな減配になるとしたら他のETFも大きな減配になるため)点もメリットです。

一方、キャピタルゲインもインカムゲインも両方大事にしたいという人は、素直にVYMを買っておいた方がいいですし、キャピタルゲインを優先するならVTIということになるでしょう。

また、金利上昇局面でのバリュー株優勢の恩恵に預かりたいという人は、DIVを買ってもいいと思いますが、安定感をとるならVYMの方がいいと思いますし、ある程度決め打ちできるようならセクターETFの方がいいでしょう。

毎月決まった額を積立する長期投資なら、VTIをベースにしておいて、VYMをサブで置いておけばいいともいますが、そこをDIVに代替えさせるのも悪くないでしょう。

結局はその人のフェーズと目的次第で変わると思いますが、配当が欲しいという人は投資の価値ありです。ただし、やはり年間経費率0.45%に見合うリターンなのかどうかは個々で判断して欲しいと思います。5.55%から0.45%を引けば5.1%で、そこから税金が引かれることを考えると、案外自分が求めるリターンに満たない人もいるのではないでしょうか。

  • B!