お金に困りたくない人のために!資産運用・収入増加・支出削減の3つで資産1億円達成の実践録を紹介

2桁リターンでインフレにも強い?高配当ETF、HDVの銘柄分析と株価、買い方とは

2022年2月22日

2022年は度重なる利上げとQT(量的引き締め)が行われる予定ということもあり、グロース株を中心に上値を押さえつけられ、株式市場は軟調が続いています。そうした中でバリュー株がグロース株をアウトパフォームする傾向が顕著となり、高配当ETFに対する興味が高まっています。ある程度底堅い値動きであることと、仮に値下がっても分配(配当)利回りが高いため、安心して持ち続けられるという利点があります。数ある高配当ETFの中から、iシェアーズコア高配当株ETF(ティッカーシンボル:HDV)を解説します。

高配当ETF、HDVとは

HDVは、「モーニングスター配当フォーカス指数」に連動した投資成果を目指すETF。ヘルスケア、エネルギー、生活必需品セクターなどを中心に高配当銘柄を選抜したETFになります。

具体的には、米国の有名、優良企業の株式75銘柄に投資するETFです。口述しますが、10年間で設定来10%を超えるリターンを実現するとても優良なETFです。

HDVの配当利回りと株価推移、リターン

早速HDVの配当金と株価推移、リターンについてみていきたいと思います。

HDVの配当金と配当利回り

HDVの配当利回り、配当金の特徴は、

  • 年4回の分配(3・6・9・12月)であること
  • 配当利回りが4.09%と高配当であること
  • 10年の年間リターンが10%とキャピタルゲインも期待できること

の3つが挙げられます。

配当金は安定的で、2021年の実績ベースだと1株あたり、

  • 3月:$0.8821
  • 6月:$0.8103
  • 9月:$0.7641
  • 12月:$1.0514

なお、現在(22年2月18日)の価格は$102~$103なので、1万円投資して毎年400円配当金が得られるようなイメージですね。

HDVの株価推移

HDVの株価推移

HDVの株価推移を見てみると、極めてきれいに右肩上がりになっていることがわかります。コロナショックで急落し、その後回復カーブが一時大きかったことを除けば、その伸び方は一直線。2012年2月から10年間で2.6倍に成長しています(配当金を全て再投資に回した前提)。

VTIなどと比べるとコロナショック前の株価に戻るまでは時間がかかりましたが、かかりすぎということもなく、むしろ安定的に株価を伸ばしているETFです。

HDVのリアルタイム株価

HDVのリアルタイム株価は以下の通り。


new TradingView.widget( { "width": 600, "height": 400, "symbol": "HDV", "interval": "D", "timezone": "Etc/UTC", "theme": "light", "style": "1", "locale": "ja", "toolbar_bg": "#f1f3f6", "enable_publishing": false, "allow_symbol_change": true, "container_id": "tradingview_b2c69" } );


2022年2月22日時点では1株あたり$102.71。

チャート的には安値を切り上げながら上がっているのでいい形をしていると思います。

HDVのリターン

HDVのリターンの特徴は、過去10年間で10.05%という高いリターンを叩き出している点。直近5年でも8.13%と高水準です。なお、2022年2月18日時点での年初来リターンは、株価の調整局面が続いているにも関わらず+1.77%とプラスリターンを出している点も魅力的ですね。

ちなみに同じ高配当ETFのVYM(バンガード米国高配当株式ETF)の年初来リターンは-1.69%なので、いかにHDVが好調かがわかります。

VYMと比較したHDVのパフォーマンス(Trading view)

一方、15年2月20日からの7年間のパフォーマンスを、VYMと比べてみると、VYMが+99.49%に対してHDVが+71.51%(どちらも配当金を再投資後)とどちらも優れたリターンながら、VYMが大きくアウトパフォームしています。特にコロナショック後のリターンの伸びが目立ちます。

HDVはどんなETFか、その特徴

次にHDVの概要を抑えた上で、どんな銘柄で構成されていて、その特徴は何かをVYMとの比較を通して見ていきたいと思います(下表は22年2月18日時点のもの)。

銘柄 HDV VYM
銘柄数 75 410
ファンド総資産(10億ドル) 8.331 43.02
経費率 0.08% 0.06%
直近配当利回り(税込) 4.09% 3.41%
直近配当額 $1.05 $0.939
1年平均リターン 19.38% 18.21%
3年平均リターン 10.35% 12.53%
5年平均リターン 8.13% 10.67%
10年平均リターン 10.05% 12.72%
年初来リターン 1.77% -1.69%

まず最大の特徴は、HDVが75銘柄に絞り込んでいる点です。これはVYMの410銘柄と比べると明らかな違いがあります。また、配当利回りについてもVYMの3.28%に対して、HDVは4.09%と高い点が挙げられます。HDVの方がより配当利回りが高い銘柄に絞り込んでいるわけです。

ファンド総資産についてはVYMが430億ドルに対して、HDVは83億ドルと、1/5程度の水準。経費率はどちらも満足のいく低水準です。

また上位10銘柄の構成比はVYMが約24%に対し、HDVはなんと55.7%。上位銘柄への集中が目立つのもHDVの特徴です。

HDVの上位10銘柄とPER

次にHDVの上位10銘柄の顔ぶれと構成比、そして上位10銘柄のPERを見ていきたいと思います。

銘柄 構成比 PER
1 エクソンモービル 9.91% 14.33
2 シェブロン 6.21% 15.77
3 ジョンソン&ジョンソン 5.99% 19.73
4 ベライゾン 5.97% 9.94
5 アッヴィ 5.80% 15.85
6 フィリップモリス 5.15% 18.17
7 プロクター&ギャンブル 4.70% 28.01
8 ファイザー 4.42% 11.76
9 コカ・コーラ 3.91% 26.83
10 メルク 3.64% 11.35

インフレ加熱の中、好調な原油株の代表であるエクソンモービル1社で9.91%を占めます。このエクソンモービルの構成比だけが突出していて、それ以外は2位のシェブロン、3位のジョンソン&ジョンソンでも6%前後となっています。

上位10社の顔ぶれを見ると、さすがに派手さのあるメンツではなく、過去数十年にわたってアメリカ経済を支えてきた老舗企業が並びます。

それら上位10社のPER(株価収益率)を見てみると、最も低いベライゾンの9.94%から最も高いP&Gの28.01%まで、低PER株が並びます。

上位10銘柄のPERを加重平均すると16.7%。銘柄全体で18.16%なので、上位も全体的にも買われすぎ感のないポートフォリオを形成したETFであることがわかります。

HDVはインフレに強いのか?

ここで注目したいのが、同じ高配当ETFでも、VYMは年初来で-1.69%であるのに対し、HDVは+1.77%である点。HDVはもしかしたら、インフレに強いのかもしれません。

そこで、全体の55.7%を占める上位10銘柄の年初来リターンを調べてみたのが以下。

銘柄 年初来リターン
エクソンモービル +26.4%
シェブロン +13.7%
ジョンソン&ジョンソン -4.5%
ベライゾン +3.6%
アッヴィ +6.4%
フィリップモリス +17.5%
プロクター&ギャンブル -2.3%
ファイザー -17.8%
コカ・コーラ +5.6%
メルク -0.4%
10社加重平均 +7.2%

エクソンモービルやシェブロンなどのエネルギー株はそれぞれ+26.4%、+13.7%と大きなリターンとなっていますが、良いのはそれだけではありません。フィリップモリスも+17.5%と高く、上位10銘柄中6社がプラスリターンとなっています。

上位10銘柄の年初来リターンを加重平均すると7.2%と出ました。このうち構成比9.91%のエクソンモービル、6.21%のシェブロン、5.15%のフィリップモリスのポジティブインパクトがかなり強くその3つが牽引しています。

実際、HDVはインフレに強い、と言うことはできると思いますが、そもそも今回のインフレは原油価格の高騰が大きな要因の一つなので、インフレと連動して株価が上がっても不思議ではありません。

はっきり言って、エクソンモービルが高配当株でよかったね、そしてその構成比が高くてよかったね、というのがHDVの結論かもしれません。良くも悪くも今後、エクソンの株価、原油価格に左右されると思います。

まとめ HDVは買うべきか、買い時と買い方は?

その意味では、HDVは確かにインフレに強い。一方で、インフレ解消後はやはりVYMとの比較で見て分かる通り、パフォーマンスはマイルドになると思います。であれば、インフレ局面ではしばらく保持しながら、インフレが落ちついたら徐々にVYMやVTIなどの別のETFにシフトするのも1つの選択肢ではないでしょうか。

注意点としてはHDVは、1つの銘柄の構成比が10%と高く、上位10銘柄で55%を占める点。仮にエクソンモービルとシェブロンがこけると全体への悪影響はかなりのものでしょう(もちろん一度こけたらリバランスで大きく構成比が減ることになるので、影響は一時的です)。

そんなわけで、インフレ時に注目すべき銘柄であると同時に、お好みですが利回りが安定しているので、一定額を毎月積立するのも損はないと思います。基本的にはVYMよりも保守的な値動きをするのでリスク許容度の低い人でもお勧めできると思います。

もちろん、大きなリターンを得たい、資産を大きく増やしたい時期の人には向かない銘柄です。コツコツ少しづつ資産を増やしたい、あるいはリスクを抑えながら配当金の最大化を進めている人にとってはとても良い投資先になるのではないでしょうか。VYMとどちらが良いかは、完全にお好みです。

 

 

 

 

 

 

 

 

  • B!